掲載『10+1』 No.43 (都市景観スタディ──いまなにが問題なのか?, 2006年07月10日発行) pp.94-103 日本橋と首都高 今年(二〇〇六)の二月、江戸東京博物館を久しぶりに訪れた。水の都市として東京を再考するリサーチとプロジェクトの集大成となる「東京エコシティ──新たなる水の都市へ」展を見るためである。歴史的な資料から建築家による未来的なプロジェクトまで、内容は多岐にわたるが、水辺空間の魅力を再発見し、その可能性を引きだす方法を提示するものだった。実は、この企画に関わった東京キャナル・プロジェクト実行委員会のシンポジウムに司会として参加し、筆者は日本橋の問題を考えるようになった。あるパネラーの発言により、美観を名目として日本橋の上の首都高を撤去することが検討されていることを初めて知ったからである。とはいえ、当時はまだ実現性の低いプロジェクトだと思われた。しかし、二〇〇