東京電力福島第1原発から20キロ圏内で31日までに、初めての潜水捜索が始まった。海中での放射線被曝(ひばく)はまとまった研究や前例がないとされ、海上保安庁は独自基準を作成して捜索に踏み切った。対象は、住民33人が行方不明の福島県浪江町の警戒区域内。「海猿」といわれる特殊救難隊の潜水士らは「震災当初の捜索より緊張する」と決死の覚悟で臨んだ。 この日は特殊救難隊のほか、巡視船「ざおう」「さつま」所属の潜水士17人が浪江町請戸漁港を約5時間かけて捜索したが、行方不明者は見つからなかった。 潜水士らは、海水が口に入るのを避けるため、酸素タンクと無線装置が直結し、額から口までをすべて覆っているフルフェースマスクを装着。水中サーベイメーターで海中の放射線量を測りながら作業した。 潜水捜索の要望が浪江町から出たのは今月4日。国家公務員の被曝線量を管理する人事院職員福祉課が「海中被曝に関して研究や前例がほ