米国人は、9・11同時多発テロの瞬間に自分がどこで何をしていたかを覚えているといわれる。他にそれほどの衝撃を米国に与えたのは、真珠湾攻撃とケネディ大統領の暗殺くらいであろう。 その9・11から20年を前に、タリバンがカブールを掌握する中で、米軍がアフガニスタンから撤退して「永遠の戦争」が終結した。米大使館から職員がヘリで脱出する模様や、タリバンの支配から逃れようとアフガン人が米軍の輸送機にしがみつく姿は、サイゴン陥落の再現を彷彿とさせるのに十分であった。 バイデン政権が100人以上の米国市民、数万人のアフガン人協力者、さらには米軍がアフガン国軍に提供した兵器を置き去りにしたことは、1979年の在テヘラン大使館の占拠や2012年の在ベンガジ領事館の襲撃にならぶ屈辱的な外交の失敗とする評価も出ている。 サイゴン、テヘラン、ベンガジといえば、米外交の失敗の象徴であり、カブール陥落は米外交史上最大