超高齢化社会の日本で、働きながら家族の介護を担う「ビジネスケアラー」が増えている。労働人口が減少する中で、介護を理由にした離職や生産性の低下が経済に与える影響も大きい。団塊の世代が一斉に75歳以上の後期高齢者となり、医療と介護の現場が逼迫(ひっぱく)する「2025年問題」は目前だ。今、働く人の仕事と介護の両立をどう支援するかは、この国の大きな課題となっている。 心身の負担で生産性減少中部地方で働く不動産会社役員の女性(45)は5年前の冬、会社の介護休業制度を利用して約2カ月間仕事を休んで山陰にある実家に帰り、実母の最期を看取(みと)った。 「末期がんだったので、悔いのない介護をしたかった」と話す。一方で、「ターミナルケア(終末期医療)だったので、言葉は悪いが終わりが見えていた。だからこそ思い切って休みがとれた。終末期でなければ、こんなに長期間、休めなかったのではないか。老いていく家族と向き