今年の五月、「文学フリマ」を見学するために、秋葉原に行った 激しく驚いた 駅前にたくさんのメイドさんが立っていたのだ どんな天国かと思った メイドさんが大挙して、ビラ巻きをしている 「メイドさんと一緒に秋葉原の街を一日デートできますよ」というビラが多かった それから、メイド喫茶の宣伝のものも、少々あった ええっ メイドさんと秋葉原の街をデートできちゃうのっ? 萌え死ぬ…… ぼくはしゃがみこんで泣き出しそうになった ぼくにお金さえあれば、あんなことやこんなことをしちゃうのにっ こういう水商売も登場しちゃったんだなーと、狂おしくなる 私は嫉妬した 三島由紀夫の『金閣寺』の主人公が、美の象徴たる「金閣寺」を燃やしたごとくに、秋葉原の街を燃やしたくなった そのとき感じたのは、秋葉原とは、三重の意味で屈折した街なのではないかということだった 話は少し遠回りする そもそも、人間にとって「文学」とは何な