ねじれ双角錐群のSF短編アンソロジー「無花果の断面」を読み、私も何かを書かねばなるまいと思った。「群れ」というテーマは社会学的にも生物学的にも非常においしいところの詰まったテーマであり、このアンソロジーに収録された六編の物語は余すことなくその可能性を食い散らかしている。実に贅沢な一冊であって面白い。優れた作品からは良質な発想が生まれて、自分ならこうするだろうなという妄想が膨らむ。物語を紡ぐ自分の姿を想像すれば、もうそこに作品は出来上がるのかもしれない。しかし、そうして作られた作品はどこか嘘くさい。自分の中にある自分が書くであろう自作は、絶対に新しい地平にたどり着けない。眠る時に見る夢が、決して自らのインプットの材料しか使えないように。 なので、ひとまず落ち着いて、このアンソロジーの感想を記していきたい。書き連ねていくことで何か私にとって発想の手助けになってくれるかも知れない。 まずは『教室