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ブックマーク / nubaotoro.hatenablog.com (17)

  • 五日市街道を歩く - nuba

  • ある他人の岐路 - nuba

    回想 | 16:57 |  義理の父の一周忌で大阪に行ったときのことであった。細君とは西中島南方の改札口で10時半にね、そう約束していた。新幹線を新大阪で降りると時刻はまだ9時過ぎであったので、余は新大阪駅のターミナル的な建物にあるマクドナルドに入った。軽でも摂りつ読書をして時間を遣りすごそうというのである。マクドナルドというのは平生のどの時間帯でも比較的混雑する場所であるが、その新大阪駅のマクドナルドの混み具合というのはとりわけ酷いもので、カウンター式に縦横に並べられた狭苦しい座席は、余がごくたまに前を通ったりするときなど空いているのを見かけたためしがないので、混雑の苦手な余は入るのを躊躇ったのであるが、時間的にも金銭的にもそこくらいしか余裕がなかったので仕方ない。とにかく、余はホットティとソーセージエッグマフィンを店員から受け取って偶然にも空いていた丸椅子に腰掛けた。店内は出勤途上の

  • おっぱいの記憶 - nuba

    回想 | 00:24 | 記憶というものはいったい誰のものなのだろう、とときどき思う。僕という人間がいて、この目で見、耳で聞き、喜怒哀楽の七色に彩られた記憶は、知らぬまに失われてゆく。そうしてもう、こちらがわでは何を忘れたかも明らかにならないので、僕はこうして傀儡の哀とか献とか、よくて康などという諱を頂かんばかりに、大切なことにはなんにも気づかないまんま、舌を抜かれてあの薄気味悪い雲の向こうを泳ぎ彷徨うのかと思うと、とてもやりきれなくなってしまうのだ。も明かりも投げ出し、ただ静寂に身を任せているのだ。それはついさっきまで、一片たりとも僕の記憶に存在すらしていなかったはずのものだった。僕が体験した経験であり、記憶であったかもしれない、ほんの映像の断片だった。喪失し千年を経て発掘された勾玉の青銅か、あるいは砂壁の楔形文字よろしく、そのとき突然、暗闇の雨だれ穿つ底に光が照らされたのだ。そして、

  • 白やぎ先生と千代子 第一景 - nuba

    白やぎ先生と千代子 | 18:51 | 「たとえば放尿ひとつするのでも、ただ便器にするだけではなくてね」 白やぎ先生は湯飲み茶椀をコトリとに置くと、いかにも穏やかな調子で言うのでした。「千代子ちゃん、外へおいでなさい」 私は白やぎ先生に手を取られ、庭先に連れ出されました。「さあ、ここで放尿してごらんなさい」 そう言う先生の股間はすっかり露わになっています。その上、先生の逸物はすっかり勃起して、亀頭の先は遥か空を見据えているように屹立しているのでした。よく澄んだ、晩秋の空でした。「千代子ちゃん、見ていなさい」 そう言うと先生は足を中腰にして開き、鼻からゆっくりと息を吸い込み、吐き出しました。一呼吸あって、先生の上向きの逸物から淡黄色の尿が放出されるではありませんか。そしてあろうことか、先生はそれを両手のひらで掬い取っているのです。私が思わず眉をひそめるのもお構いなしに、先生は陶酔しきりで放尿

  • ロスジェネ世代の観察眼(点景ふたつ) - nuba

    雑記 | 13:29 | 格言白やぎちゃん「うんこがうんこたりうるのは、うんこが肛門から顔を出し、うんこが肛門から離れるまでのほんの一瞬だけである」 生誕のこと 僕がその光景を目にしたのはいつごろのことだったのでしょう、おそらく高校三年とか大学一年とか、そのくらいではなかったでしょうか。こういうことを申しますと、「高校生活と大学生活とじゃ全然雰囲気違くね?」などと言われそうですが、それは僕の身の上においては少し違うのです。なにせ僕は半分エスカレータ式の系列学校、しかも高校と大学の所在地は隣り合わせ、という条件のところに、つまるところ7年間通っていたのです。しかも、周囲の友人やなんかもこぞって同様に進学しました。それだから、高校時分と大学のそれとでは、記憶しているところの風景というのはあまり変化していやしないのです。 その光景というのはほかでもありません、友人のEがウンコをしているのを、いや

    murashit
    murashit 2009/11/21
    この人にはどうやったって勝てない。「あそび」のなさがヤバい。
  • ふたりのこと - nuba

    日記 | 16:40 |  パウロ・コエーリョの『ピエドラ川のほとりで私は泣いた』を読んでいて、「パウロ・コエーリョといえばブラジルに上陸した最初のポルトガル人ではなかったか」と思いついたが、それはよくよく考えるとゴンサロ・コエーリョだったので、僕は気が抜けたように長い息をつくとすっかりパウロ・コエーリョの小説に対する興味も失ってしまった。 恋愛、ということについて今さら思うこともないのだけれど、たとえば僕にがいて、そのと僕は愛し合っていて、子供さえいないにせよ、僕たちのあいだには彼や彼女と幸せで暮らし続けたいよ、というその一念が生活の根っこにあることを互いに理解しているように思われるので、たとえば僕はYの物思う横顔を見ていて、彼女がマスカラで虚飾した派手な睫毛をバサバサを瞬かせるその風景のなかのほんの小さな変化ひとつ認めるだけで、まるで一期一会の感傷に涙するように目を潤ませるのだった

  • 昆布バトン - nuba

    日記 | 18:25 | id:cinemathejuryさんを知るキッカケ - かわいい日記いやー、たぶんある日突然、「お、おまえは…!」「パニッシャーだ!」みたいな感じでブックマークされたのがキッカケなのかなあ…そのころ僕はid:clerkさんとid:cinemathejuryさんがコンビというか二人でひとつというか、親友同士だろうかとかそういう風に考えていて、「なんかこのオッサンども気持ち悪いなア……」とか思っていてパニッシャーとピンクの例のアイコンには嫌悪感すら覚えていたのを思い出しますよね(嘘だヨ)。それから、最初の最初、僕はid:clerkさんのことをアイコンがピンクだっつーだけで「このヒト女のコなのにド変態の香りが……」とか思って若干引いていたことも付記しておきましょうかね。それからまあ、僕ははてな女子を手玉に取り、数々の、はてなダイアリー史に残るべき、芸術的な、sexyなお

    murashit
    murashit 2009/09/10
    まだ見ぬ北の地北海道について語ることで都道府県バトンと昆布バトンを同時に受けとる算段です!!!
  • はてなケツ出し2009夏! - nuba

    写真 | 19:20 | さあ、出そうよお尻を僕たちの夏は尻とともにある

    murashit
    murashit 2009/08/19
    ぞうさんに悪意を感じマスね…!!
  • 「お兄ちゃん」は裏切りか - nuba

    雑記 | 12:47 |  Cという男は慎重というか臆病で気弱な性質で、周囲の人に知られているのであるから、Cが僕と会うたび店を予約することを、いちいち僕は驚きもしない。しかし、店に入ってみると人影はまばらである。終始人が混雑して行き違うことはなく、ただひっそりと少人数の客だけをその空間が重ならぬよう均等に配置させ、大勢の店員たちがそれをもてなし、そうして時間が過ぎてゆく。僕はむしろそちらの閑散具合に驚いた。それを見ていると、隠れ家然とした『若』のうす暗い店員のほうが数がいくらも多いことがわかる。そこで、「予約取らいでもよかったんちゃうのん」と僕は戯れにとばかりCにぶつけた。すると、Cはやけに強張った笑顔で「そうっすね」とだけこたえるのだった。僕がCの浮かない表情に気づいたのはその瞬間がはじめてであった。店内はごく静かである。黒と白を基調とした冷やかさしか感じない無機的な店内装飾、ひたすら

    murashit
    murashit 2009/07/31
    もぞもぞぐねぐねした
  • 雨の降れる、朝、鳥の影 - nuba

    日記 | 23:48 |  音楽を止めた。ヘッドフォンを耳から外した。雨の音が五月蝿いばかりに辺りいちめんに響き渡り、朝靄のなかに音楽を奏でていた。しかしそれはじっさい、雨の音というのではなくて、傘の塩化ビニールを打ち付ける音であったり川流れの増水して奔流となって渦巻く音であったり、その川べり沿いにずうっとどこまでも立ち並ぶ桜木の若葉に降りおちる音だったりする。そういう音のいくつかに耳を済ませてみる。傘をたたんでしばらく歩く。ぼつぼつという喧しい音が居なくなった。あたりは静まりかえっていた。行き交う人もなく、僕ひとり雨に濡れている。ときおり、電線を伝って雨粒がぼとりと落ちる。しとしとという擬音がちょうど当てはまるよう、しとやかな落ち着きは雨つぶとなって僕をつつむ。雨が、ほんのひそやかな朝の抒情を染めている。雨の水滴が肌にべっとりと張りついている。その滑りは手で撫でつけてもとれることはない。

  • 奴隷のころ つづき - nuba

    回想 | 21:17 | 前回まで奴隷のころ - nuba  目覚めるとそこあったのは知らない風景であった。岡山の山奥に存する味気ない研修施設の宿舎だということに気がついたのは、他の新入社員のがさごそと起き出だす音を耳にしたときであった。大堂の広間に集められ冷えたオムレツとパン、それから牛乳を各自手にとって事を摂る。その粗末な朝は不安をますます穏やかでなくさせてゆく。それは遠く山奥に離れた質素な色味のない施設に閉じ込められ、きっと逃げることも叶わないであろうという切迫感もさることながら、見渡すかぎりの山のみどりの美しさが否でも目に飛び込んでくるので、ここが異郷であるという実感を始終していなくてはならない、というところにあったような気がする。僕のなかで“岡山県”の印象の美しさががみるみるうちに変化してゆくのがわかった。思い出に彩られた恋の甘さや愛情の温みは、バスに揺られ、見知らぬ施設

  • はてな"精通の思い出"出し! - nuba

  • 白やぎ先生の叙情日記 - nuba

    日記 | 11:22 |  誕生日といってもべつだんどうということもなくって、僕は七夕というセンチメンタルな日でなおかつこの日社会においてはおよそセンチメンタルとは言い難い忙しさ(それは中高期の期末テストであり、大学期の前期試験の最中であり、社会人期の月次事務処理の繁忙さであったりする)のなかに生まれたことを若干残念に思いながら、いつものように就寝し、目覚めた。目覚めると既に、七月八日であった。目覚めて最初に考えたことは、昨晩Yがメッセージカードに書いたことばのひとふしであったので、その恥じらいと嬉しさの入り混じった甘酸っぱさは、僕の目覚めを爽やかにさせた。肩が凝っており、偏頭痛が酷い。 Yと連れ立って家を出ると空には雲が分厚く、その分厚い雲の連なりが風に押し流されてゆくので、僕は全身に薄ら寒さを感じて鼻をひとつすすった。Yも、咳をひとつした。空の混沌がそのまま地平に吹き降ろすように、風

  • 家族がまたひとり減って僕は何を思うのか - nuba

    日記 | 09:18 |  祖父が死んだのは一昨日の昼間だった。Yの祖父だ。その連絡は仕事をしている午後にYから入り、僕はその少し前に会社近くの道端で蛙が鮮やかな桃色の内臓を喉元からぱっくりと飛び出させて大の字で潰れているのと、鴉の死骸が川のほとりにバサリと落ちているのを目撃していたので、ああこういうこともあるのだな、と心痛に苛まれてしばらく仕事が手につかなかった。  彼の祖父は小学校の校長をやっていた人で、藍綬褒章を小泉純一郎元首相から授与されたくらいの、いわば地元の名士だったので、昨晩行なわれた通夜には夥しい数の弔問があり、式場は沈痛な黒で一面埋めつくされていたのだった。 しかし、式場の雰囲気はずいぶん落ち着いたものだった。社(やしろ)の前面に置かれた祖父の遺影は藍綬褒章授与式のときの写真であり、祖父の表情はふくよかで頬に赤みを帯びていかにも健康そのものであったが、その実祖父の笑顔のそ

  • 玉子焼きが食べたい、と妻は言った - nuba

    創作 | 19:19 |  松永は数週間来の激務の後で、二日間の休日を得た。休日に鎌倉に行くというのは、松永が仕事に汗を流すあいだに夢見た唯一の希望であったので、「なあお前、今日はちょっと野暮用で出掛けるよ」と松永はにひとことだけ告げると家を飛び出した。或る六月の雨雲の俄かに渦巻く朝のことであった。松永のはその朝も笑顔で夫を見送った。玄関まで摺り足で歩みゆくと、平生にはない快活さを顔面に湛えた夫に三つ指を付いた。「いってらっしゃませ」松永にその声が届いたのかどうか、定かではない。  松永が鎌倉へ行く最大の目的は、に『おざわ』のたまごやきをべさせたいということであった。松永のは永年生育した九州より出て来てよりろくすっぽ観光へも遊楽へも出掛けたことがなく、十年に渡って松永ひとりのためにつくして家庭の中に在った女であるので、それは松永の憂慮するところでもあったのだ。それに松永のは東京

    murashit
    murashit 2009/06/27
    ああ…!
  • 会社バレしたので皆さんにご連絡とお詫び - nuba

    日記 | 21:07 |  僕はいわゆる変態性癖の持ち主でして、それはなんというか一般のごくありきたりの自慰や性交に興じるのみで事足りる人たちと比べると、ということでそりゃ僕などよりも特殊な性嗜好を持つ方はごまんといられるでしょうが、僕が自身で自覚しているところでは、僕は軽度のスカトロを愛好し、臭い(匂いじゃない)に性的興奮をおぼえ、アナルプレイをこよなく愛し、腋毛をたわわに蓄えた女性が好き、とかまあそういう、大方は人間の裡にある動物性をごく原初的な形で発露させただけ、というような、そう考えると普通にスケベなだけじゃん、ということになってしまうような、まあそういうところなのです。 それが、会社にバレた!会社に!バレ!た!  バレたというかまあ個人情報の開示はごく最小限に留めているとはいえ、こういう場所でうんこがどうだのチンコがどうだのということを、実際にこの僕が経験した日常の出来事や実在す

    murashit
    murashit 2009/06/17
    いい話っぽく書かれていますが、いいですかみなさん!ここにいるのは変態ですよ!!!
  • 勝間和代十夜 第五夜 - nuba

    11:35 | 第五夜  勝間和代の白い頬が濡れた。雨であった。停車場の薄明かりを三歩離れると既に光は遠ざかり、和代は堪え切れず振り返った。小さな二つの光がみるみるうちに消えてなくなる。最終電車であった。 和代の黒髪が、商店の軒下の蛍光灯に照らされ、ときおりきらりと光を帯びて煌めいている。光は剛質の髪の波打つおもてをキラキラと舞うように漂っている。和代はその癖毛が嫌いであった。無機的なシャッターがどこまでも続くうらぶれた駅前通りのしじまにあって、その癖毛のきらめきは、混沌の沼に咲く一輪の蓮のようである。 そういう優雅さとは裏腹、和代は俯いていた。ほとんど泣き出しそうであった。眉間に皺を寄せ、頬はぐにゃりと変形して目尻を圧迫し、鼻はひん曲がっている。だんだんと、それが酷くなる。誰にも見せたことのない和代の泣き顔が、商店街を駆け抜けていった。ぴちゃぴちゃ、コツコツと、小さな和代の痕跡が通りに谺

    murashit
    murashit 2009/06/17
    オチに涙
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