もう遅い。どうせ間に合わない。それはわかっているのである。 トマス・ピンチョンの長篇小説Mason & Dixon (1997)は、あと2ヶ月半後の6月末に、柴田元幸による翻訳が新潮社から刊行される。 “トマス・ピンチョン全小説”という企画の第1弾で、文芸誌「新潮」の2010年5月号にはピンチョン特集まで組まれているから、これはもうまちがいない。タイトルは「メイソン&ディクソン」ではなく、『メイスン&ディクスン』で決まりのようだ。 この翻訳には相当な時間がかかっていて、たとえばこのブログでも、5年前にこんなことをメモっていた。2005年当時、「あと3年待つのかあ」と思った私は、「いや、もっと遅れるだろう」と予想、Mason & Dixon の原書を買ったのだった。3年、さらにプラスアルファの猶予があれば、もしかすると自分でも読めるんじゃないか。読めないにしても、全ページに目を通すくらいは。