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ブックマーク / gutyogutyo.jugem.jp (3)

  • お気に入りのセーター | グチョグチョライフ

    お洒落に無頓着で、変じゃなければ良い、程度の感覚で服は選んでいるが、それでもお気に入りの一着くらいはある。 数か月後に大学受験を控えた高三の冬にお姉ちゃんがくれたセーターがそれで、薄い紫色の太い毛糸で編んだハンドメイドの輸入もので、着てみせたらよく似合ってるとお姉ちゃんは言ってくれた。 冬がくるたび、わたしはそのセーターを引っぱり出してきて、かなりの頻度で着用し、春がきてしばらくしてもまだしつこくそれを着ていた。 はじめてのデートのときも、はじめての海外旅行のときも、はじめての鍾乳洞長期潜伏期間中も、いつもそのお気に入りのセーターだった。 ところがそうやって後先考えずに着倒してきたせいで、今、セーターの状態がひどいことになってる。とにかく、毛玉がすごい。小さな毛玉がセーターの表面をびっしりと覆い尽くしている。 このまま毛玉が増え続けたら、大切なお気に入りのセーターはどうなってしまうのだろう

  • 気配 Z | グチョグチョライフ

    A 地点から B 地点へ向かう途中に C という町があって、その町に D という男がいる。 D は、E という妹と、F という犬と一緒に、アパート G に住んでいる。 その D の顔には、H、I、J、の3つのニキビと、ニキビ痕 K、L、があって、ニキビ J と ニキビ痕 K との間には、ホクロ M がある。 また、D の妹 E の顔には、火傷痕 N と、染み O 、P、 Q があり、犬 F の顔には ハエ R がとまっている。 E の顔の火傷痕 N は、E がまだ幼児だった頃に、D が誤って熱湯 S を浴びせてしまったせいでできた火傷 T が、その後時間を経ても治らず、火傷痕 N になったものである。D はこの時のことを今でも悔いており、折に触れては自責の念に苛まれる。 E は火傷痕 N のことなんて全然気にしてないと言って、兄 D を慰めるが、慰められれば慰められる程、D の表情は暗くな

  • NO ムシムシ NO LIFE | グチョグチョライフ

    そろそろ寝ようかなと思い、部屋の電気を消して横になり目を瞑ってはみたものの、やけにムシムシする夜で、わたしはなかなか寝付けなかった。明日は朝が早いから、しっかり睡眠をとらなければいけないのにと思えば思うほど、さらにムシムシしてくる気がした。服を脱いだり、部屋の窓を開けてみたが効果はなかった。 こうなったらもう、ムシムシの元を断つしかない。とわたしは思い体を起こした。ムシムシの原因を見つけ出し、ムシムシさせないようにするのだ。 わたしは部屋の電気をつけ、ムシムシの元を探した。箪笥の引出しの中身をひっくり返したり、床に散らばったや雑誌をどけながら部屋の中をうろついているうちに、苛立ちのせいもあるかもしれないが、ムシムシ感はさらに増した。どこだ。ムシムシの元は一体どこにあるんだ。そして棚の前を通り過ぎたとき、ムシムシ度数はついにピークに達した。それで気づいた。これだ! 棚の上には、ラジオが

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