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ブックマーク / hiddenstairs.hatenablog.com (4)

  • 「マジック・フォー・ビギナーズ」ケリー・リンク - 隠し階段、踊り場

    マジック・フォー・ビギナーズ (ハヤカワepi文庫) 作者:ケリー・リンク 早川書房 Amazon 数年前に、今はなき地元の駅前大型書店で購入してからずっと積んでいたのを、知人の度重なる激推しもあり、ようやく表題作を読んだ。 ・「マジック・フォー・ビギナーズ」 まだ10ページ読んだだけだが、上手すぎる。ずっと面白くて、それが逆に胃もたれするというか、気持ち悪くなってきた。現代アメリカ文学らしいユーモアとトーンがこれ以上ないほど洗練された形でずっと披露されている。ソーンダーズをもっと洗練させた感じ。洗練されすぎててむせそう。もういいよ……となる。 なんか、1周回ってテンション上がらないんだよな。これを読む前より読んだ後のほうが、自分にとって世界がつまらないものになっていそう。「こんな面白いフィクションを経験してしまったら、現実世界なんて退屈きわまりない!」とかそういうことじゃあなくて、こうし

    「マジック・フォー・ビギナーズ」ケリー・リンク - 隠し階段、踊り場
    murashit
    murashit 2021/12/27
    これすごい気持ちわかってしまうな
  • 『乙女の密告』赤染晶子 - 隠し階段、踊り場

    negishiso.hatenablog.com こちらの記事で絶賛されており、面と向かっても「じゃあ読んだほうがいいです」と言われたので図書館で読んだ(単行のほう)。すごく良かった。日にこんな作家がいたとは…… プロットも文章も非常に面白い。 バスが次のバス停に停まる。ドアが開く。バスの中の空気が変わる。凍りつく。バッハマン教授が乗ってきた。泣く子も黙る。ドイツ語学科だけではない。すべての外大生がバッハマンを恐れている。貴代は吊革を掴んだまま、白目をむく。死んだふりをする。バッハマン教授は青い目ですべての乗客にメンチを切る。背の高い金髪の頭はバスの天井にたまにごんごんとぶつかっている。 p.14 短文をたて続けに並び立てて異様な風景をドライブさせていく文章。かっこいい。真似したい。 翌日、みか子は七時半前に大学についた。もう、麗子様がいた。壇上に立って練習していた。マイクのスイッチも

    『乙女の密告』赤染晶子 - 隠し階段、踊り場
    murashit
    murashit 2021/11/24
  • 『踊る自由』大崎清夏 - 隠し階段、踊り場

    おとといの夜、雨が降りしきる新宿をわたしは歩いていた。わたしの隣にはお腹をすかせた人が歩いていて、わたしはその人に連れられるままに、ブックファーストへ向かった。地下の入口へ下る階段に、まるで映画の撮影をしているかのように、ダイナミックに寝そべった男女が顔を密着させていた。雨などまったく気にしていないか、むしろ雨だからこそその行為を決行しているかのどちらかであるようにわたしには思われた。わたしはぎょっとして階段に踏み出すのをためらったが、お腹をすかせた人は力強く階段を下っていった。その背中がわたしにはたいそう頼もしく見えた。 店内に入り、海外文学の棚の前にふたりで立った。そこは、以前わたしが別の人と待ち合わせたのと同じ場所だった。そのときと同じ赤いボストンバッグを床に置いて──これは迷惑な振る舞いである──わたしはもうひとりの人と棚を眺め、そこに刺さっているについて言葉を交わしあった。ま

    『踊る自由』大崎清夏 - 隠し階段、踊り場
  • 『別荘』ホセ・ドノソ - 隠し階段、踊り場

    「わからない、わからないわ。その話には分厚いベールを掛けておきましょう」(p.60) 現代企画室から、ラテアメ邦訳界のシバニャンこと寺尾隆吉氏による翻訳で出ているホセ・ドノソ『別荘』を読んだ。550ページ、鈍器と呼べる小説を最後まで読み切れたのは今年は書が1冊目かもしれない。(それほどに最近は長篇が読めない……すぐ飽きて別の小説浮気してしまう) ドノソは昨年『三つのブルジョワ物語』を読みはじめ、文章が読みづらく冒頭20ページほどで挫折したきりなので、ちゃんと読んだのはこの『別荘』が初めてだった。こちらは驚くほど読みやすい文章で、550ページを2週間で読み切れた。これは普段10ページ読むのに1時間かかる自分としては破格のスピードである。 書の裏帯文に「理屈抜きに面白い傑作」とあるように、とにかく娯楽作品としてめちゃくちゃ面白かった。こんなにストーリーが躍動的かつ大量のキャラが立っている

    『別荘』ホセ・ドノソ - 隠し階段、踊り場
    murashit
    murashit 2021/06/11
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