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2021年6月11日のブックマーク (2件)

  • 『ブリーディング・エッジ』 | 荒野に向かって、吼えない…

    トマス・ピンチョン著 『ブリーディング・エッジ』 原著が刊行されたのは2013年のこと、ピンチョンは当時76歳だった。作者の名を明かさずに作を読ませたら、多くの読者がまさか70代の老人が書いたものだとは思わないだろう。ポケモン、『ドラゴンボール』や『AKIRA』をはじめ言及される数多くのポップカルチャーは昔懐かしのものだけでなくリアルタイムのものまで様々であるだけでなく(恐らくピンチョン自身の趣味のみならず91年生まれの息子との生活もあってのことだろう)、ITバブル崩壊直後(または90年代前半の日がそうであったようにその残滓が漂うとしてもいいだろう)の2001年のニューヨークを舞台に、虚実入り交えたその設定は当時のIT業界、そしてコンピューター、ネット文化への凄まじいリサーチ(あるいはリサーチせずともピンチョンが日常的に馴染んでいたとも考えられる)を反映したものとなっている。 一方でピ

    murashit
    murashit 2021/06/11
  • 『別荘』ホセ・ドノソ - 隠し階段、踊り場

    「わからない、わからないわ。その話には分厚いベールを掛けておきましょう」(p.60) 現代企画室から、ラテアメ邦訳界のシバニャンこと寺尾隆吉氏による翻訳で出ているホセ・ドノソ『別荘』を読んだ。550ページ、鈍器と呼べる小説を最後まで読み切れたのは今年は書が1冊目かもしれない。(それほどに最近は長篇が読めない……すぐ飽きて別の小説浮気してしまう) ドノソは昨年『三つのブルジョワ物語』を読みはじめ、文章が読みづらく冒頭20ページほどで挫折したきりなので、ちゃんと読んだのはこの『別荘』が初めてだった。こちらは驚くほど読みやすい文章で、550ページを2週間で読み切れた。これは普段10ページ読むのに1時間かかる自分としては破格のスピードである。 書の裏帯文に「理屈抜きに面白い傑作」とあるように、とにかく娯楽作品としてめちゃくちゃ面白かった。こんなにストーリーが躍動的かつ大量のキャラが立っている

    『別荘』ホセ・ドノソ - 隠し階段、踊り場
    murashit
    murashit 2021/06/11