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ブックマーク / pulp-literature.hatenablog.com (6)

  • 高畑勲『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968/日) - 海外文学読書録

    太陽の王子 ホルスの大冒険 大方斐紗子 Amazon ★★★★ 父(横森久)と2人で暮らしていた少年ホルス(大方斐紗子)が、巨人モーグ(横内正)の肩から錆びた剣を引き抜く。モーグによると、それは太陽の剣で、鍛え直せば「太陽の王子」と呼ばれることになるという。やがて父が死去。ホルスは遺言により、他の人間を探す旅に出る。道中、悪魔グルンワルド(平幹二朗)に捕まり、彼の弟になるよう迫られるのだった。その後、窮地を脱したホルスは村を見つけ、孤独な少女ヒルダ(市原悦子)と出会う。 後のジブリアニメを彷彿とさせる作家性の強いアニメだった。宮崎駿も原画と場面設計で関わっている。基的にアニメは子供が見るものだが、この辺から大人の鑑賞に耐えうる作品が出てきたように思える。 今まで見てきた東映のアニメ映画に比べると、映像としてのスケールが大きくてびっくりする。たとえば、冒頭でホルスが狼の群れと戦うのだが、こ

    高畑勲『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968/日) - 海外文学読書録
  • ジェスミン・ウォード『歌え、葬られぬ者たちよ、歌え』(2017) - 海外文学読書録

    歌え、葬られぬ者たちよ、歌え 作者:ウォード,ジェスミン 作品社 Amazon ★★★★ ミシシッピ州の架空の街ボア・ソバージュ。13歳になったばかりの少年ジョジョは、祖父のことを「父さん」と呼び、祖母のことを「母さん」と呼んでいた。ジョジョは白人と黒人の混血で、下には妹ケイラがいる。今回、実父のマイケルが刑務所から出所するため、実母のレオニはジョジョとケイラを伴って迎えに行くことに。しかし、ジョジョも「お父さん」も気が乗らないのだった。 「おれにとって、これはそいつを見つける旅なんだ」 「そいつって?」 「歌だよ。その場所というのは歌で、おれはその歌の一部になる」 「支離滅裂だな」(p.200) 全米図書賞受賞作。 親子3代のスケールで捉えた家族小説であると同時に、『ビラヴド』【Amazon】を歌取りしたゴースト・ストーリーでもある。過去に黒人がいかにして虐げられ、その名残りがいかにし

    ジェスミン・ウォード『歌え、葬られぬ者たちよ、歌え』(2017) - 海外文学読書録
    murashit
    murashit 2020/04/14
  • マーガレット・アトウッド『オリクスとクレイク』(2003) - 海外文学読書録

    オリクスとクレイク 作者:マーガレット・アトウッド 早川書房 Amazon ★★★★ 人類が絶滅し、〈クレイクの子供たち〉と呼ばれる新人類が生きている世界。唯一の生き残りであるスノーマンが、かつての世界を回想する。当時ジミーという名前だったスノーマンは、高校でクレイクという天才少年と出会って親友になる。一方、貧しい村で生まれた少女オリクスは、人身売買によって親元を離れる。 「どうして醜いものについて話したいの?」と彼女は言った。その声は銀鈴を振るようで、オルゴールのようだった。彼女は片手を空中で揺らめかせ、爪を乾かしていた。「なるべく美しいことだけ考えるべきよ。あなたは足元の泥しか見ていないのよね、ジミー。あなたのためにならないわ」(p.180) マッドアダム3部作の1作目。 いわゆるポストアポカリプスを題材にしてるのだけど、実はスノーマンの少年時代――人類が絶滅する前――からディストピア

    マーガレット・アトウッド『オリクスとクレイク』(2003) - 海外文学読書録
    murashit
    murashit 2020/04/08
  • 川面真也『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』(2018/日) - 海外文学読書録

    劇場版 のんのんびより ばけーしょん 小岩井ことり Amazon ★★★★ 夏休み。宮内れんげらいつものメンバーがデパートに行き、福引で三泊四日の沖縄旅行を当てる。いつものメンバーは、かず姉と駄菓子屋の2人の大人同伴で沖縄へ。シュノーケリングやカヤックを楽しみつつ、宿の手伝いをしている中学生・新里あおいと親しくなる。 テレビシリーズ【Amazon】がド田舎を舞台にした日常もの*1だったのに対し、劇場版は沖縄を舞台にした番外編といった趣。前者は子供ならではの引き伸ばされた時間を描いており、それはいつまでも続くかのような錯覚を覚えるほどだったけれど、後者は旅行という限られた時間を描いていて、非日常ならではの楽しさと同時に、ある種の儚さをおぼえた。旅行の最終日、越谷夏海は新里あおいと離れるのが惜しくてガチ泣きする。そして、なぜかそれに同調している自分が画面の前にいる……。これって出会いがあれば別

    川面真也『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』(2018/日) - 海外文学読書録
    murashit
    murashit 2019/03/19
    突然ののんのんびよりばけーしょんだ……!
  • 大西巨人『神聖喜劇』(1978-1980) - 海外文学読書録

    神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫) 作者:大西 巨人 光文社 Amazon ★★★★★ 1942年。新聞記者の東堂太郎が補充兵として対馬に招集される。彼は超人的な記憶力と持ち前の論理によって、軍隊内の様々な不条理に抵抗する。東堂は学生時代に社会主義活動の疑いをかけられて逮捕され、九州帝大法学部を中退していた。彼は同年兵の冬木と友情で結ばれる一方、軍曹の大前田に目をつけられる。 「止めて下さい。誰にも許されていません、そんなことをするのは。」 むろん、まるきり私は、そういう事態の発生を予想も予期もしなかったのであったが、私の絶叫とほぼ同時に、さながら山彦のように、もう一つの絶叫が、私の左後方で上がったのである。 「止めて下さい。人のいのちを玩具にするのは、止めて下さい。」(vol.5 p.209) ハードカバーで読んだ。引用もそこから。 これはすごかった。風刺文学とか戦争文学とか、作をひと

    大西巨人『神聖喜劇』(1978-1980) - 海外文学読書録
    murashit
    murashit 2019/02/06
  • ジョージ・ソーンダーズ『リンカーンとさまよえる霊魂たち』(2017) - 海外文学読書録

    リンカーンとさまよえる霊魂たち 作者:ジョージ・ソーンダーズ 河出書房新社 Amazon ★★★★ 1862年。南北戦争の最中、リンカーン大統領の息子ウィリーが急逝する。ウィリーは防腐処理を施されて墓地に葬られたが、そこには自分の死を受け入れられない霊魂たちが屯しており、ウィリーも霊魂としてそこに留まっていた。大統領が追憶に浸るために墓地を訪れると……。 みんなにこう言ってくれ、と牧師さんが言った。私たちは無の存在でいることが嫌になった。何もせず、誰にとっても何も価値もなく、いつでも恐れおののいて生きていることに疲れたんだ。(p.335) ブッカー賞受賞作。 これはまた野心的な語り口で面白かった。作はおおまかに言うと二つの形式で語っている。一つは当時生きていた人たちの日記や回想録からの引用で、多数の視点からリンカーン周辺で起きた出来事を立ち上げている。そして、もう一つは様々な霊魂たちによ

    ジョージ・ソーンダーズ『リンカーンとさまよえる霊魂たち』(2017) - 海外文学読書録
    murashit
    murashit 2018/08/23
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