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ブックマーク / screammachine.hateblo.jp (12)

  • なぐさめにはならないが、何かの助けになるかもしれない物語 - 絶叫機械+絶望中止

    物事というのは外見通りに,ひどいことが多い。 ぼくが公園を抜けて団地の裏にジョー(犬の名前だ、白くて雑種で中型で、目つきが悪い。ぼくが小学校に入った日に家に来て、以来五年間一緒に暮らしている。彼に「顎」という名前をつけたのは、ぼくの父さんの弟、つまりおじさんの晴彦さんで、普段はギャンブルで生計を立てていて、たまに家に来ては夕飯をべて泊まって朝どこかへ帰る。晴彦さんのつけたジョーという名前で彼を呼ぶのは家ではぼくだけで、晴彦さんですらそのことをすっかり忘れてジョーを見ると「ポチ」や「犬」と呼んだりする)を連れて行くと、変な水溜りができていた。 昨日は雨が降っていないから、ずっとそこに溜まっていた水なのかもしれない。ジョーがその水を飲もうとするので、ぼくは紐を引っ張って止めようとした。団地の裏は影になっていて、さっきまで照っていた太陽がまったく射さなくて、なんだか寒いくらいだ。水溜りの真ん中

    なぐさめにはならないが、何かの助けになるかもしれない物語 - 絶叫機械+絶望中止
  • 恥ずかしいとはどういうことか - 絶叫機械+絶望中止

    パンツじゃないから恥ずかしくない 人前で裸になるのが恥ずかしくない人は、多くはいないだろう。ぼくは裸になることはとくに恥ずかしくもないが、時と場合によってはえらく恥ずかしく感じることもある。ってまるで四六時中裸でいるみたいだが、まあ精神の話に置きかえれば似たようなものだ。 ではなぜ人前で裸になると恥ずかしいのか。ときと場合と前述したが、たとえば銭湯に入るときに恥ずかしがって全身を隠す人はあまりいない。なぜ恥ずかしくないかといえばまわりも全員全裸だからなのだが、これはおかしな話だ。たとえば通勤電車の中で大勢が突然脱ぎだしたからといって「じゃあおれも」と脱ぎだすことはたぶんないからだ。 人はなぜ、恥ずかしいと感じるのだろうか。まず、恥ずかしいと感じているとき、人の体はどうなっているのだろうか?もののによれば、恥ずかしいときに人は赤面し発汗する、これは体が興奮したときと似たような状態になるとい

    恥ずかしいとはどういうことか - 絶叫機械+絶望中止
  • 私のための巨大な乳房 The gargantuan breasts for me - 絶叫機械

    私の体から生えた巨乳を持ちあげながらメイドはつぶやいた。 「三つだ、三つはっきりさせておこう。ひとつ、おれはメイドじゃない、ふたつ、おれは男だ、みっつ……おれは……この途方もないデカパイの消し方を知っている」 ハンス・ヘンリクセンが巨大な乳に関する呪術の研究をはじめたのは、やっとの思いで入ったばかりの大学をある事情で(これはあとで語ることになる)除籍になってから、叔父のコネで転がり込んだ会社でまたもや不祥事を起こし(これは女にまつわる類のよくある事故だから特には語らない、キーワードは「会議室」と「コンドーム」そして「専務」)、史料編纂室勤務になってすぐのことだった。 妙に湿気た昼休み、ハンスは上司のエドから一冊のを預かった。エドはこの国が南北に分かれてくっつくその前から資料室にいたみたいな顔の、しなびたドーナツを思わせる顔の老人だ。話す言葉は「そうだ」と「いいや」、たまに「なぜ?」 その

    私のための巨大な乳房 The gargantuan breasts for me - 絶叫機械
    murashit
    murashit 2009/01/23
    「呪術」「少女」っつーキーワードがそれっぽい
  • 後日談、あるいはおれの友達。 - 絶叫機械

    かんがえるはやさ、思考の速度。 「チューニング、のところがわかりにくかったな」と友人は言った。 深夜に、近所のパブで彼と飲んだ、といっても彼は酒が飲めないから、おれだけが何かのロックを飲む。名前を忘れたその酒は、歯医者の味がした。友人はジンジャーエールを一口なめて、話を続けた。 「ぼくもね、今日『あたし彼女』を読んだ、面白かったよ。最初は使うべき言葉も知らなかった彼女が、次第に考えるための道具を得て、自分の希望や未来に気付いていく過程がうまく描けていたと思う。『アルジャーノンに花束を』の前半と同じ効果だね。だから君の書いていることはわかるんだけど……どうしてその手法を自分の文章に使えないのかな」 「でも書き直したよ、最初よりはわかりやすくなったと思ってるんだけど」と、おれ。 「だからさ、どうしてチューニング中心の話にしちゃったのかな、って思うんだ。それってつまり……きみはどう思ったの、あれ

    後日談、あるいはおれの友達。 - 絶叫機械
  • あかんではないか。 - 絶叫機械+絶望中止

    秋葉原通り魔の前に、まずは、共感能力の話をする。 おれが今、話しかけているおまえは、実は当のおまえではない。おれの頭の中に生成された、おまえの複製品だ。 話していて、気が合う仲間であるとか、雰囲気がいいとかいうのは、その頭の中に生成するのがうまくいく、ということだ。おまえが友達と他愛無い会話して楽しいのは、脳内にある友達のモデルが強化され、そのモデルがする反応と、現実にいる友達の反応が、ズレなくなるからだ。モデル化がうまくいかなければ、おまえは不快感をおぼえる。想像と違う反応を返す友達を、おまえは「空気が読めていない」と思うかもしれない。いやむしろ、脳内モデル構築の苦手なおまえを、まわりの人間が「空気が読めない」と非難するほうが多いとおれは予想する。勝手に想像する。どうだ、失礼な話だろう。でもおまえも随時これをやっている。やらなければ、そもそも会話が成立しない。いちいち目の前にいる人間に

    あかんではないか。 - 絶叫機械+絶望中止
    murashit
    murashit 2008/06/15
    更新したい更新したい更新したいと足掻いてる
  • マンガを批評する前に、四つの質問。 絶叫機械+絶望中止

    マンガ進化論に戻って来たぜ。 はじめに。四つの質問について。 動物行動学の入門書を読むと、ニコ・ティンバーゲンの「四つの質問」というのがよく出てくる。これはティンバーゲンの同僚だったローレンツが「能」というのを発見したときに、ほかの学者から「能があるって証拠見せてみろよう」と言われているのを見て考えだしたものなんだそうだ。わかりやすく書くと、こう。 至近要因:具体的な理由は何か? 人間が喋るのは、脳から信号が出て、肺から息が出るのと同時に声帯が動くからですよ、いったようなこと。解剖したり、実験すればわかること。 発達要因:その機能はどう成長したか? 人間が喋るには、脳の喋りに関する部分が発達するだけではなくて、声帯や舌をうまくうごかせるようになるからですよ、といったこと。観察すればわかること。 究極要因:その機能が生まれたのはなぜ? その機能はどう適応的だったのか、ってこと。化石や類縁

    マンガを批評する前に、四つの質問。 絶叫機械+絶望中止
  • たったひとつのさえたやりかた- 絶叫機械+絶望中止

    生きていると、自分の罪を思い出して耐えかねるときがある。それは他人から見れば小さなものかもしれない。誰かを言葉で傷つけた、誰かの損になることをした、誰かの失敗を嘲笑った、誰かに嘘をついた。反省も後悔もいつまでも続いている、でも、罪を犯した自分の心はうす汚れてしまって、もうもとには戻らない。 ねえ旦那、おれは救われますか?祈れば救われますか?死んだあとで救われる?じゃあ祈らねえ。いまこの心にさかさ棘みたいに突き刺さっているのが消えないなら、祈る意味はねえんだ。ああ、生きることが罪なんですか、じゃあ旦那はなんで生きてなさるんで? 罪を犯すというのは、そういうことだ。では、罰とはなんだろう。 罪と罰 乱暴な書き方をすれば、罰というのは、人間の価値を量って、そこから犯した罪の分だけ引く、というものだ。 だから、与えられる罰と、罪を犯すことでかぶるかもしれないリスクを比べたとき、与えられる罰の方が重

    たったひとつのさえたやりかた- 絶叫機械+絶望中止
    murashit
    murashit 2008/05/16
    免罪符にしてしまいそう
  • マンガの境界線、マンガは境界線。 - 絶叫機械+絶望中止

    裸で往来へ。 アルキメデスの有名なエピソードで、お風呂から飛び出して往来を走った、ってのがある。有名な数学者が裸で走る、ってのはたいそう面白いらしくて、Wikipediaでは、こういう実在の人物に関しての面白おかしいエピソードには「要出典」ってタグがつくんだけど、ついてない。まあそれにしたって、いくらすごい発見をしたからって、往来まで走って出ることはないだろう。 「ヘウレーカ!ヘウレーカ!」ぷらんぷらん。 まるで、マンガだ。 感覚のズレ、言葉のズレ。 なにかの出来事を見て「まるでマンガだ」ってたとえるとき、おれたちはそれをほめ言葉としては使わない。どちらかといえばバカにしているとき、少なくともその出来事で号泣きしたり気で怒ったりはしていないときに、おれたちは「まるでマンガだ」と感想を言う。 でも、変な話じゃないか。だっておれたちはふだんマンガを読んで号泣したり気で怒ったり感動してるって

    マンガの境界線、マンガは境界線。 - 絶叫機械+絶望中止
  • そのマンガ、本当にわかってる? - 絶叫機械+絶望中止

    よく歌手のインタビューなんかで、伝えたいことが先にあって、音楽はその手段にしか過ぎないのだ、なんて言ってたりしますな。おれはあれがどうにも解せない。いや、そういうひとがいるのはわかるし、音楽やめて作家になるのを見たりすれば「ああ、別の方法を見つけたんだな」と納得もできる。でもね、音楽をやりながら「音楽は手段のひとつ」って言うのはつまり「目的のためには手段を選ばない」という考え方の、もっともだめー、なやりくちじゃないかなあ、と思うわけである。 情報の高密度パッケージ ずっと「マンガはすげー」って話を書いているのであるけれども、改めてまとめてみると、当にすごい。何がすごいって、ほかのメディアには不可能な表現が目白押しなところがちょうすごい。しかも、マンガの描き方なんてのを読んでみると、そのすごさが全然意識されてないところがまたすごい、無意識ですごい、たぶん実作者と紹介者の違い、みたいな問題で

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  • 顔色の悪い神様が、新しいのをくれと君に言うだろう。 - 絶叫機械

    今日、おれはひどいことを言われた。そのことを思い出すだけで、全身の毛穴が開きそうになる。もちろん仕事があるから充電が終わるそのときまでのことだ。この場合「仕事」と「充電」の間に何のつながりがあるのかを考えるのが作家、疑問に思うのが批評家、意味がわかんねえとふてくされるのがお客様。お客様は神様とも言うが、神様ははたしてお客様か問題、というのがある。今考えた。つまり根敬の言う「神はいる、ただしカタギでではない」的な問題として、おれは神様というのはどうにもお客様であることだなあ、と思うわけである。 はじまりはこうだ。天から啓示が降ってきた。 「だってお前、意味のないこと一日一万文字書けって言われたら書けるだろ?」 バイトに行く少し前だから、昼の十二時ごろである。上を見ると青空に太陽。太陽には雲がかかっていて、雲の隙間から梯子がおりてきていた。 「一万字は難しいかな、ていうかお前誰?」 さすがに

    顔色の悪い神様が、新しいのをくれと君に言うだろう。 - 絶叫機械
  • いい感じのエントリに注意!3つの「過ぎやしませんか」 - 絶叫機械+絶望中止

    いい感じのエントリを読んで、なんか目が覚めたような気がすること、ありませんか。モヤモヤが晴れて、頭がスッキリした感じ。なんだか少し成長しちゃった?みたいなエントリに出会うと、ひとにも教えたくなるものです。そこで、公開ブクマを利用して、そこにちょっとコメントつけちゃったりして。楽しいですね、おれもよくやる。 でもね、ここで振り返ってみると、まったく不備のない、完璧なエントリなんてものは、そう多くない。言ってる内容は良いのに、余計なことが書いてあったり、そのひとの他のエントリを読んだら別に面白くなかったり。 何ででしょうね。もちろんそれには理由があります。 誰だって、生きているうちの、二度か三度は、ひとの目を覚めさせる「いい感じのこと」が言えるものです。だから、最初は、ブログを書いてるひとは「いい感じのこと」を言うプロではないので、コンスタンスにいい感じのことが書けないのだと思うかもしれない。

    いい感じのエントリに注意!3つの「過ぎやしませんか」 - 絶叫機械+絶望中止
  • 素人がアニメを作るために必要なのは「計画する」ことじゃなくて「作る」こと。 - 2007-11-04 - 絶叫機械+絶望中止

    Nico-AnimationProject(http://niconicoanime.xxxxxxxx.jp/) ニコニコ動画のユーザーだけでアニメを作って配信しよう、というこころみ。 についての話、第二回。第一回はこちら>http://d.hatena.ne.jp/screammachine/20071102#p2 前回は暴走してしまったので、今回は落ち着いて、同じ問題について違うアプローチをこころみよう。 匿名の素人集団は、面白いアニメを作れるのか? メインタイトルで全部を説明してしまった気がするけど、作れる、という前提で話を進めたい。 まずは匿名の集団が持つ特性について。人間というものは、不安を共有することで集団を形成することができる。逆に言えば「集団を形成するには不安要素を作ればいい」という話でもある。カリスマに必要なのは「このひとに頼ればなんとかなる」という安心感だが、その安心感

    素人がアニメを作るために必要なのは「計画する」ことじゃなくて「作る」こと。 - 2007-11-04 - 絶叫機械+絶望中止
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