東芝初の原発輸出が、受注から6年経った今も建設が行われず、損失を出し続けている。この案件だけで2013年度310億円、2014年度410億円の合計約720億円の減損損失を計上。2006年に買収した、米原子力会社ウエスチングハウス(WH)社ののれん代(約3441億円)の減損が唯一の懸念材料と思われていたが、東芝自身の原子力事業も暗雲が漂っている。 720億円もの減損損失を計上したのは、米テキサス州マタゴルダ郡でABWR(改良型沸騰水型原子炉)を2基建設する「サウス・テキサス・プロジェクト(STP)」だ。東芝は2009年2月、プラントの設計、調達、建設を一括受注。これを足がかりとして、原発輸出の加速を目指していた。当初の計画では、2012年に建設運転許可(COL)が下り、2016年~2017年に運転を開始するはずだった。 ところが、2011年3月の東京電力・福島原発事故を受けて、米原子力規制委
東芝の不適切会計問題については、話がどんどん大きくなって様々な議論がなされている。ここでは東芝の「上場廃止の可能性」にのみ焦点を当てて、過去事例も踏まえて確認していきたい。はたして上場廃止はあるのか? そもそも上場廃止を判断するのは誰か 上場制度とは、日本国内にいくつかの証券取引所があり、その証券取引所の審査で認められた企業が、その取引所のある市場(東証であれば、市場一部、市場二部、マザーズなど)で、不特定多数の人が証券会社を通じて株式を売買することを言います。 証券取引所そのものは株式会社であり、日本取引所グループも東証一部に上場しています。 よって、上場廃止になるか否かは、金融証券取引法のなど有価証券報告書虚偽記載罪(金融商品取引法197条1項)の適用の有無を斟酌することはあるでしょうが、あくまで取引所が自ら制定した「上場廃止基準」によります。特に行政または法律から直接関与・介入を受け
意外だった東芝の企業文化 東芝で1518億円に上る不正会計が明らかとなり、歴代3社長が辞任する前代未聞の騒動となっている。 第三者委員会の報告書によれば、歴代3社長が「チャレンジ」と称する過大な利益目標を設定し、カンパニートップや子会社の社長にプレッシャーをかけたという。そして、東芝には上司に逆らえない企業文化が存在していたため、上記プレッシャーが原因となって、組織ぐるみで不正会計を継続的に実行するようになったと分析している。 私は日立出身の元半導体技術者だが、東芝でかれこれ10回も講演を行ってきたこともあり、東芝の知人や友人は多い。彼らと付き合ってきた皮膚感覚からすると、官僚的な日立に比べて、東芝の企業文化は「自由闊達」であると思い込んでいた。 それゆえ、「東芝には上司に逆らえない企業文化があった」と断じた第三者委員会の報告には、驚くと同時に、にわかには信じられない思いがした。東芝関係者
inside Enterprise 日々刻々、変化を続ける企業の経営環境。変化の中で各企業が模索する経営戦略とは何か?ダイヤモンド編集部が徹底取材します。 バックナンバー一覧 不正会計を引き起こした歴代3社長の在任期間は、東芝が時の政権と距離を縮めたタイミングでもあった。国策に寄り添う一方、企業としてのガバナンスの欠如につながった可能性がある。(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史、鈴木崇久、森川 潤) 2013年中ごろ、東京・霞が関。経済産業省の一室には、東芝、経産省の幹部らが、米国のファンド関係者と向き合っていた。 「STPの電力を購入できるようにするから、シェールガスの契約を結ばないか」。米ファンドの関係者が切り出した。 STPとは、東芝が米国テキサス州で進めていた原子力発電所のプロジェクト。当初は、東京電力との共同出資の案件だったが、福島第1原発の事故を受け、東電が撤退。その後、米
連日報道されている東芝の不正会計問題。そのどれもが同社の企業統治を問うものばかりですが、評論家の高野孟さんはメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』の中で「これは疑いもなく原発スキャンダルだ」と言い切ります。 原子力ムラの苦悶を象徴する東芝の粉飾決算 東芝の歴代3社長が揃って辞任することになった同社の3年間1,500億円にも及ぶ粉飾決算問題を、ほとんどのマスコミは「企業統治」のあり方を問うとかいう気の抜けた視点でしか論じていない。しかし、これは疑いもなく「原発スキャンダル」である。日本最大の原子炉・関連機器メーカーである同社が政府・経産省と一心同体となって「原子力ルネッサンス」を推進しようとして福島第一事故で挫折、稼ぎ頭だった原子力部門がほとんど頓死状態に陥る中で、海外に活路を求めて悪あがきした挙げ句にその巨大損失を何とか世間の目に触れさせまいとして前代未聞の虚飾に走ったことに根本原因が
封印される「2つの問題」 発覚からすでに半年近くが経過した東芝の粉飾決算疑惑が今週、節目を迎えそうだ。報道によると、東芝が事態の究明のために設置した「第三者委員会」が本稿掲載の前日(7月20日)夜、調査報告の概要を公表。本稿掲載日(21日)の夕方、田中久雄社長が記者会見して、佐々木則夫副会長と共に引責辞任を表明するという。 注目の決算の修正額は、過去5年間のコストの先送り(約1600億円)と事業そのものの収益力低下を反映した工場の減損処理(約700億円)の合計額、つまり2300億円前後の巨額に達する模様だ。だが、これまでの報道をみている限り、より本質的で構造的な2つの問題の解明は進まず、封印される懸念がありそうだ。 事件の発端は今年2月。関係者が証券取引等監視委員会に行ったとされる内部通報がきっかけだ。不可解な発端だけに、東芝内部でなんらかの内紛があった証拠だとささやかれている。事態を受け
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