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ブックマーク / gendai.media (203)

  • 『君の名は。』が、感動のウラで消し去ってしまったもの(貞包 英之) @gendai_biz

    大ヒットの理由――交差する東京と地方 新海誠映画『君の名は。』が、興行収入110億円を超える大ヒットを続けている。 東京に住む高校生の男の子と、地方に住む同じく高校生の女の子が寝ている間に入れ替わる「スコシ・フシギ」なかたちで出会い、互いの身体で世界を経験していくうちに、次第に運命の人として受け入れていく。 ヒットした要因のひとつには、そうした東京と地方の異なる若者の生活を、メリハリよく交差させ描いていたことがあるだろう。戦後ヒットした『君の名は』は、佐渡、東京、北海道を股にかけた一種のご当地映画としてあったが、今回の『君の名は。』も、都市と地方の生活をよく描く。 主人公の一人の男子高校生は新宿・代々木・千駄ヶ谷を中心とする東京で学校とバイトを中心とした都会生活を送り、もう一方の女子高生は岐阜県飛騨のどこかをモデルとした「糸守」という村で実家の神社を守りながら暮らしているのである。 ただ

    『君の名は。』が、感動のウラで消し去ってしまったもの(貞包 英之) @gendai_biz
  • 「憲法ってなんですか?」に対する、木村草太の答え(木村 草太)

    1 張り紙から過去が見える ここ数年、かつてなく憲法に注目が集まっており、私も、しばしばテレビやラジオの出演依頼を受ける。 報道機関で印象的なのは、セキュリティの厳しさだ。「社員証は必ず携行しましょう」といった張り紙をよく目にする。張り紙と言えば、夜のラジオでしばしば声をかけて頂く某局のトイレには、他局では見ないユニークな張り紙がある。「居眠りは止めましょう」と書かれているのだ。居眠りの常習犯がいたに違いない。 「憲法学者がなぜ張り紙の話など始めるのだ?」といぶかしがる方もいるかもしれない。しかし、張り紙は憲法理解のための良い素材だ。 2 憲法って何ですか? 仕事柄、よく「憲法って何ですか?」と聞かれる。答えかたはいろいろあるが、私は、「国家権力がしでかした失敗への反省から作られた張り紙のようなものだ」と説明することにしている。 歴史を振り返れば、国家権力は、気に入らない人間を弾圧したり、

    「憲法ってなんですか?」に対する、木村草太の答え(木村 草太)
  • 岸信介はこうして「極刑」を免れた~明かされるGHQ尋問の真相(魚住 昭) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)

    したたかな岸の供述 岸信介はなぜA級戦犯として起訴されなかったのか。その謎を解くカギを探して、GHQによる岸の第1回尋問調書(1946年3月7日付)を読み解く作業をつづけている。 この尋問があったときA級戦犯28人はまだ起訴されていない。つまり岸にも起訴される可能性が十分にあった。そうなれば最悪、極刑も覚悟しなければならぬ状況に置かれていた。 にもかかわらず「岸は快く、ためらうことなくしゃべった」と捜査官は記録している。 これにはちょっと驚いた。岸は言葉を濁して相手の不信を招くような真似をしていない。いざというとき肝が据わり、最適の対応ができる。そこに彼の真骨頂があるのかもしれない。 尋問の主なテーマは、岸が経営に携わった満州国の実情だった。岸は捜査官の問いにこう語っている。 「関東軍が満州の支配権を握っていて、われわれが何かやろうとすると、必ず関東軍の許可がいった。関東軍の意向を無視すれ

    岸信介はこうして「極刑」を免れた~明かされるGHQ尋問の真相(魚住 昭) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)
  • 我々はいま「近代世界システム」の崩壊に立ち会っている(玉木 俊明)

    情報に翻弄される社会 情報は「かたち」をもたず、目に見えない。その情報を可視化し、歴史の中心に据える。それが長年私の課題であった。 世界は情報で溢れており、情報の歪みが、経済活動に致命的影響を与えることもある。 リーマンブラザーズが倒産したのも、サブプライム住宅ローンに関して、家屋に低い査定額を出した情報はインターネットには出されず、高い査定額を出した情報だけが流され、リーマンブラザーズは、その情報だけを信じたからである。そのような世界は、「情報による不安定性」がある社会である。 リーマンショックの統計的な規模は、1929年の世界恐慌にくらべれば小さい。しかし、1929年にはアメリカの恐慌が世界全体に波及するのに数ヵ月かかったのに対し、リーマンショックの影響は、たちまちのうちに世界全体に波及することになった。インターネットによって、世界全体が過剰に結びつけられているからである。 このように

    我々はいま「近代世界システム」の崩壊に立ち会っている(玉木 俊明)
  • 『シン・ゴジラ』に覚えた“違和感”の正体〜繰り返し発露する日本人の「儚い願望」(辻田 真佐憲) @gendai_biz

    文/辻田真佐憲(近現代史研究者) バブル時代とゴジラ映画 経済大国日は、21世紀にその財力で赤字国の領土を買いあさり、22世紀に世界最大の面積を誇る大国になり、23世紀に唯一の超大国として世界に君臨するにいたる。この事態を憂慮した未来人の一部は、タイムマシンを使って20世紀末の日に怪獣を送り込み、日を徹底的に破壊して、歴史を改変しようと試みる――。 これは、1991年12月に公開された『ゴジラ対キングギドラ』(大森一樹監督)のストーリーである。衰退する一方の現代日では、このストーリーはいまやまったく現実味のないものになってしまった。 しかし、この脚が書かれたころの日では、必ずしもそうではなかった。 当時の日はバブル景気の真っ直中であり、世界中の企業を買いあさるなど、まさに我が世の春を謳歌していた。いわゆる「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代だ。それゆえ、日がこのまま世界を

    『シン・ゴジラ』に覚えた“違和感”の正体〜繰り返し発露する日本人の「儚い願望」(辻田 真佐憲) @gendai_biz
    nashika-ryo
    nashika-ryo 2016/08/13
    “だが、われわれには秘められた力がある。立派な指導者さえ出てくれば、この国はまだまだやれる。”なるほど!これは壮大な「俺はまだ本気出していないだけ」宣言、なんだな〜。
  • 知られざる天皇家の「闇」をあぶり出した、ある女官の手記(原 武史)

    文/原 武史(放送大学教授) 天皇制研究の「壁」 近代天皇制研究の最大の難点は、御製(ぎょせい)と呼ばれる和歌を除いて、天皇や皇后(皇太后)が書いたものがほとんど公開されていないことである。 確かに最近では、『明治天皇紀』に続いて『昭憲皇太后実録』や『昭和天皇実録』が刊行されるなど、研究環境が整ってきているように見えるが、こうした資料は宮内省や宮内庁が編修しており、基的に天皇や皇后の生涯を顕彰するという政治的意図が込められていることに注意しなければならない。 つまり、マイナスの情報ははじめから遮断されているということだ。 2002年から11年にかけて公開された「大正天皇実録」も、学業成績や病気の詳細な診断が書かれた部分については黒塗りされていて見ることができない。 したがって、公式の資料だけを見ていても、天皇や皇后の実像に迫るには限界がある。 むしろそれらが取り上げない宮中関係者の私的な

    知られざる天皇家の「闇」をあぶり出した、ある女官の手記(原 武史)
  • 東京中を破壊するゴジラが、いつも素通りする場所とは? 「シン・ゴジラ」が暗示する日本のあやうさ(中川 右介) @gendai_biz

    文/中川右介 「怪獣映画」というより「災害映画」 『シン・ゴジラ』を公開初日(7月29日)の午前中に観てきた。 「公開日まで内容については一切もらさない」との趣旨の誓約書に署名捺印しなければ試写も見られないという、かつてない情報管理がなされたことが映画業界では話題になっていた。 その話を聞いて「国家機密より厳しいのか」と言って笑っていたのだが、なるほど、映画そのものが「国家」を真正面から描いたものとなっていた。 東宝の社員各位は、日国を背負っている気分になってしまい、特定秘密保護法を適用し、『シン・ゴジラ』を特定秘密に指定したのだろう(これは皮肉です、念のため)。 秘密にしていたのは内容に自信がなく、試写を観た映画評論家やジャーリストたちが「つまらない」「たいしたことない」とネットなどに書き込むのを恐れているからだとの噂もあった。 さて、どうだったか。 怪獣映画を期待して観た人にとっては

    東京中を破壊するゴジラが、いつも素通りする場所とは? 「シン・ゴジラ」が暗示する日本のあやうさ(中川 右介) @gendai_biz
  • 日本の若者は本当に「右傾化」しているか?(後藤 和智) @gendai_biz

    文/後藤和智(同人サークル「後藤和智事務所OffLine」代表) 日社会「右傾化」論の実像 日社会の「右傾化」「保守化」ということが言われて久しくなっています。 例えばここ数年で、「ヘイトスピーチ」(憎悪扇動)や「レイシズム」(人種差別)が問題として採り上げられることが多くなりました。そのような動きを懸念して、2016年5月24日には、自民党や民進党などの賛成多数で「ヘイトスピーチ解消法」が成立しています。 民族的、社会的マイノリティに対して扇動される憎悪について、政治を含めた日社会全体で取り組んでいく、という姿勢が鮮明になってきています。 保守派として知られる自民党の西田昌司議員も、この法案の成立に寄せて《ヘイトスピーチをする方は、ただちに国会が許さない(という意志を示した)。ヘイトスピーチするなどという考えは、直ちに捨てて頂きたい》とコメントし、公明党の矢倉克夫議員も《まずはヘイ

    日本の若者は本当に「右傾化」しているか?(後藤 和智) @gendai_biz
  • イラク戦争を検証し続けるイギリスと、一顧だにしない日本〜その「外交力」の致命的な差(笠原 敏彦) @gendai_biz

    イラク戦争を検証し続けるイギリスと、一顧だにしない日〜その「外交力」の致命的な差 日が噛み締めるべき「教訓」 文/笠原敏彦 イラク戦争とは何だったのか? イギリスは「検証の国」だ。 その背景には、今ある社会を、現在と過去と未来をつなぐ存在とみなす叡智があるように思う。将来世代に対し記録と教訓を引き継ぐ意思が社会のDNAとなっているということである。 しかし、検証はときに日人が考えるほど立派なものではなく、問題に区切りを付けるための便宜的な手段となることもある。その中で、イギリスのイラク戦争参戦の経緯などを検証してきた独立調査委員会(チルコット委員会)が7月6日に発表した報告書は圧巻である。 7年の歳月をかけ、参戦を決めたブレア首相ら当時の政府高官ら約150人を聴取、政府文書への完全なアクセス権を与えられ15万件の証拠を調べ上げた。そして、「軍事行動は最後の手段ではなかった」「法的根拠

    イラク戦争を検証し続けるイギリスと、一顧だにしない日本〜その「外交力」の致命的な差(笠原 敏彦) @gendai_biz
  • 山口敬之氏「だから私はTBSを退社し、この一冊を著した」~永田町を震撼させたエース記者の回想() @gendai_biz

    永田町を震撼させた一冊 「これ、あさって議院を解散する時の会見原稿なんだけどさ、ちょっと聞いてみてよ」 安倍は番さながらに、私に向かって語りかけた――。目の前で、現職の総理が解散を宣言している。私はまるで自分が、官邸1階の記者会見室にいるような錯覚にとらわれた。 6月に発売されるや、永田町を震撼させた『総理』(幻冬舎刊)の一節である。 衆院解散を決意した安倍総理が、書き上げたばかりの演説草稿を読み聞かせるほどに信頼を寄せる「私」とは、著者の山口敬之氏のことだ。 1990年、TBSに入社し報道局に配属された山口氏。これまでに社長賞や報道局長賞などの社内表彰を39度も受けたという、同局きっての「エース記者」だった。 今年5月にTBSを退社し、フリーランスのジャーナリストに転身、その直後に刊行された書では、自民党が大敗を喫した2007年参院選から第二次安倍政権発足に至る舞台裏や、シリア情勢を

    山口敬之氏「だから私はTBSを退社し、この一冊を著した」~永田町を震撼させたエース記者の回想() @gendai_biz
  • 鳥越俊太郎氏の出馬会見を大手メディアはどう報じたか~「デジタルデバイド」を助長する報道界の悪しき慣行(牧野 洋) @gendai_biz

    鳥越俊太郎氏の出馬会見を大手メディアはどう報じたか ~「デジタルデバイド」を助長する報道界の悪しき慣行 都民にとって重要な情報はどこに…… 重要なニュースを伝えない大手メディア 土壇場で都知事選への出馬を表明したジャーナリストの鳥越俊太郎氏。7月12日に同氏が急きょ開いた記者会見はネット上ですぐに話題になった。 鳥越氏の出馬表明で野党統一候補がようやく決まったからではない。出馬会見で同氏の準備不足が露わになったばかりか、当に都政に関心を持っていたのかどうか疑問を抱かせる発言が出たからだ。 にもかかわらず、鳥越氏の出馬会見を報じる大手メディアの多くは都民にとって重要なニュースを伝えずに終わっている。きちんと伝えていたネットメディアやブロガーとは対照的だった。 12日に鳥越氏が帝国ホテルで開いた出馬会見のハイライトをおさらいしておこう。元防衛相の小池百合子氏や元岩手県知事の増田寛也氏らの有力

    鳥越俊太郎氏の出馬会見を大手メディアはどう報じたか~「デジタルデバイド」を助長する報道界の悪しき慣行(牧野 洋) @gendai_biz
  • 誰も語ろうとしない東日本大震災「復興政策」の大失敗(山下 祐介) @gendai_biz

    文/山下祐介(首都大学東京准教授) この復興は失敗である 7月10日投開票の参議院議員選挙に向けて、安倍政権の政策検証が各メディアで行われている。とくに「アベノミクス」と「安全保障問題」に多くの人の関心はあるようだ。 その中で丸5年を超えた東日大震災・福島第一原発事故の復興政策については、世間の反応は実に穏やかに見える。すでに政府も集中復興期間を終え、やることはやったかのようであり、被災地もまた何かをあきらめてしまったかのようだ。 だが、当はこう言わねばならない。 「この災害復興は失敗である」 それも単なる失敗ではない。 私たちが何年もかけて反省をし、もうこれ以上の失敗を重ねないよう議論をしつづけ、制度にまでのせようと努力していながら、その反省を吹き飛ばすかのように最悪の結果を導いた、そのような失敗である。 この失敗の原因はどこにあるのか。何をどう問題視する必要があるのか。そのなかで震

    誰も語ろうとしない東日本大震災「復興政策」の大失敗(山下 祐介) @gendai_biz
  • 外国人記者は、なぜ東京新聞を「ダントツ信頼できるメディア」に選んだのか~独自記事の数から分析してみた(牧野 洋) @gendai_biz

    外国人記者「信頼度ランキング」でダントツ首位 6月18日付の東京新聞朝刊。1面に4段見出しで「官邸前『脱原発』集会 200回に」という記事が載った。記事は次のように伝えている。 〈 脱原発を訴え首相官邸前や国会周辺で毎週金曜夕方に開かれている抗議集会が17日、200回目を迎えた。参加者はドラムを鳴らしながら『地震の国に原発要らない』『川内止めろ』『伊方原発再稼働反対』と官邸に向かって声を合わせた。 〉 官邸が発信する情報だけでなく、相対するデモや集会など市民側の動きも1面できちんと報じる姿勢はいかにも東京新聞らしい。1面題字の下に、「権力とともに」とは180度違う「読者とともに」というスローガンを掲げているのはダテではない。 だからこそ、雑誌プレジデント(7月18日号)が外国人記者の評価に基づいて「日のマスコミ」 信頼度ランキングを実施したところ、東京新聞が断トツの首位に躍り出たのだろう

    外国人記者は、なぜ東京新聞を「ダントツ信頼できるメディア」に選んだのか~独自記事の数から分析してみた(牧野 洋) @gendai_biz
  • 元中国共産党エリート官僚の告白「中国の民主化運動は、こうして習近平政権につぶされた」(安田 峰俊) @gendai_biz

    証言から浮かび上がる、習近平政権の危うさ 東シナ海での中国軍艦による領海侵犯や、中国軍機が自衛隊機への攻撃動作を仕掛けたことが一部で報じられるなど、中国はここ数か月間、日に対して極めて威嚇的な行為を繰り返すようになった。また、国内政治の面でも人権派弁護士の大量拘束や、メディア関係者への締め付けに代表される言論統制の強化が進み、中国国内の知識人の間には重苦しい空気が垂れこめている。 こうした習近平政権の締め付けに耐えかね、約2年間におよぶ中国国内での逃亡を経て、2015年2月にタイへ亡命した顔伯鈞という民主活動家がいる。 かつて党内の若手エリートでもあった彼は、今年6月20日に逃亡の経緯を記した手記『「暗黒・中国」からの脱出』(文春新書)を日で刊行することとなった。中国土の各省をはじめ、香港やチベット、ミャンマー国境の軍閥支配地まであちこちを逃げ回るストーリーは、まさに驚くべきものだ。

    元中国共産党エリート官僚の告白「中国の民主化運動は、こうして習近平政権につぶされた」(安田 峰俊) @gendai_biz
  • テレビからCMが消える日〜『報道ステーション』と『笑点』「分刻み視聴率」分析で“ヤバい現状”が明らかになった(週刊現代) @gendai_biz

    テレビからCMが消える日〜『報道ステーション』と『笑点』「分刻み視聴率」分析で“ヤバい現状”が明らかになった スポンサーと局が抱える「矛盾」と「限界」 ビジネスモデルの終焉 若者のテレビ離れ、録画が便利なハードディスク・レコーダーの普及、スマートフォンの登場などテレビCMがパワーダウンした要因はいくらでもある。スポンサーから広告料金を取り、無料で番組を流すビジネスモデルに限界が来るのは自明だ。 すでに「WOWOW」と「スカパー!」が健闘している。有料放送が浸透し、視聴者は見たいものをカネを払って見るようになってきたのだ。 では、テレビCMが危険水域に達する時期はいつなのだろうか。 前出・藤田氏が続ける。 「節目として東京五輪が開催される'20年があります。そこまではなんとか景気も持つでしょうが、その一方で、五輪に向けてデジタルのインフラ整備も進んでいきます。そのときテレビの力がどれぐらい落

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  • いまさら聞けない「憲法9条と自衛隊」~本当に「憲法改正」は必要なのか?(木村 草太) @gendai_biz

    次に、憲法9条について考えてみよう。 改憲勢力である三党(自民、公明、おおさか維新)の選挙公約では、憲法9条改正が積極的に提案されているわけではない。しかし、論壇では、自衛隊合憲論は、「分かりにくい」から国民が「理解しやすいように」改憲しようとか、憲法の文言からすれば自衛隊違憲が「素直」で「自然」な解釈だから改憲しようという主張をする人もいる。 では、これをどう評価すべきだろうか。また、自衛隊合憲論は当に「分かり難く」、自衛隊違憲論が「素直」で「自然」な解釈なのか。 まず、憲法9条2項は「戦力は、これを保持しない」と規定する。これを読むと、防衛のためであっても、「戦力」を使った武力行使が禁じられるように見える。 他方、憲法13条後段は、「国民の生命、自由、幸福追求の権利」は「国政の上で最大限尊重される」と定めている。この「文言を素直」に読む限り、日政府は、犯罪者やテロリストからはもちろ

    いまさら聞けない「憲法9条と自衛隊」~本当に「憲法改正」は必要なのか?(木村 草太) @gendai_biz
  • 憲法学者・木村草太が各党の「改憲」マニフェストを読む〜いま最も危惧すべきポイントは?(木村 草太) @gendai_biz

    文/木村草太(首都大学東京教授) まずは整理してみよう 7月10日投開票の参議院選挙では、憲法改正が争点の一つになっている。 もっとも、一口に憲法改正といっても、その内容は千差万別だ。全く正反対の性質の改憲提案がなされることすらある。そんな中で、漠然と「憲法改正の是非が争点です」とか「憲法改正に賛成ですか?」と言われても、まじめに考えたことのある人であればあるほど、答えようがないだろう。 そこで、「改憲が必要なのか」を考える前に、まずは、憲法改正についてどんな議論が行われているのかを整理してみよう。 選挙序盤の報道では、自民、公明、おおさか維新などのいわゆる「改憲勢力」が、参議院で3分の2の議席を獲得する可能性もあると言われている。もっとも、それらの党を一括りにするのはあまりに乱暴な話だ。 それぞれどこをどう改正すべきかについての主張は、一致しているわけではない。各党の憲法改正についての選

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    nashika-ryo
    nashika-ryo 2016/07/01
    “昨年11月に、民主党などの野党が、この規定に基づき国会召集を要求したが、安倍内閣はこれに応えなかった。この対応は、違憲と評価すべきと思うが…”憲法改正の前から憲法違反。つまりは違憲内閣じゃんか。
  • 英EU離脱が「シルバー民主主義」なら、日本の選挙はもっとヤバい!安倍政権に「改革」の秘策はあるか(磯山 友幸) @moneygendai

    高齢者が決めた「EU離脱」 EU(欧州連合)離脱を決めた英国の国民投票は衝撃的だった。離脱という結論よりも、年齢層によって賛否が完全に分かれたことが驚きだった。世代間で利害が真正面からぶつかっている様子が鮮明になったのである。 英BBC(電子版)を引用した報道では、最も若い「18~24歳」では離脱派が27%、残留派が73%だったのに対し、年齢が上がるごとに離脱派が増え、65歳以上では離脱派は60%に上り、残留派は40%にとどまった。 賛否の“分水嶺”は44歳と45歳の間にあり、それ以下の若年層は圧倒的にEU残留を望んだものの、45歳以上の高齢層の意見が通る格好で、離脱が決まったことが明らかになったのだ。 人生90年と考えれば45歳は真ん中だが、現役で働いている層で考えると、かなり高齢に偏っている。先進国では、少子高齢化が急速に進んでいるため、働いて社会を支えている層よりも、年金を受給したり

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  • 「旧軍人・軍属には50兆円」「民間人にはゼロ」戦後補償の差を示す、あまりに残酷な数字(栗原 俊雄) @gendai_biz

    「旧軍人・軍属には50兆円」「民間人にはゼロ」戦後補償の差を示す、あまりに残酷な数字 戦争受忍論をご存じですか? <東京・大阪・名古屋大空襲、シベリア抑留、戦没者遺骨……。望まざる戦争の被害者たちは、差別や偏見に耐えながら戦後を生き、やがて補償を求めて国を相手に裁判を起こした> 『シベリア抑留』『遺骨』などの著者で、戦後「未」補償の問題を取材し続けてきた毎日新聞学芸部記者の栗原俊雄氏。新著『戦後補償裁判 民間人たちの終わらない「戦争」』では、戦後、国を相手に裁判を起こした「戦争被害者」たちを取材し、その証言をまとめている。 彼らはなぜいまなお国と闘っているのか。「戦時下ではみんなが被害者だったのだから、我慢してほしい」――そんな「戦争受忍論」のおかしさを撃つ。 「常夏記者」と言われようと 「8月ジャーナリズム」という言葉をご存じだろうか。 1945年8月15日、大日帝国は事実上降伏した。

    「旧軍人・軍属には50兆円」「民間人にはゼロ」戦後補償の差を示す、あまりに残酷な数字(栗原 俊雄) @gendai_biz
  • 憲法学者・木村草太さんがすすめる「人生最高の10冊」() @gendai_biz

    〔PHOTO〕iStock 実体験としての「憲法・国家・人権」 私が憲法研究者になる上で影響を受けたを選びました。『憲法の想像力』を書かれた奥平康弘先生は著名な憲法学者で、昨年惜しくも亡くなられましたが、社会的なニュースにもなった事柄を、憲法の視点から柔軟に考えてみるということをされています。 書で扱われているのは、たとえば'99年にニューヨークのジュリアーニ市長がブルックリン美術館への公金支出を中止すると表明し、騒動となった事件。 マリア像の素材に象の糞を使ったケニア出身の画家の作品の取り扱いをめぐるやりとりから、表現の自由について考えていく。 奥平先生の学問的な代表作ではないですが、実社会の出来事から憲法について説き起こす姿勢には「研究者が専門分野の殻に閉じこもっていたのでは意味がない」と強く教えられました。 次の『比較不能な価値の迷路』は、私が大学2年の時、進路を決めるきっかけと

    憲法学者・木村草太さんがすすめる「人生最高の10冊」() @gendai_biz