財務省が2015年の年末を控え、消費や賃金などにかかわる経済統計の調査方法の見直しをにわかに提案している。調査対象者が少ないことや階層の偏り、数字のブレの大きさなど、従来から指摘されていたのは確かで、統計の精度を高めて経済の実態をより正確につかみ、経済政策運営に生かす、という点では正論だ。 ただ、予算編成や2017年4月の消費増税を控え、「景気の実態は指標ほど悪くない」とアピールする狙いではとささやかれる。さらに、安倍晋三政権の新たな看板政策として登場した「国内総生産(GDP)600兆円」達成へ向けた数字の底上げ手段ではないか、と勘繰る向きもある。 「家計消費」は高齢者の家計簿頼り 「具体的な改善策を早急に検討してほしい」。麻生太郎財務相は2015年10月16日の経済財政諮問会議で、「家計調査」などをやり玉に挙げた。 家計調査は全国の約8000世帯に家計簿をつけてもらい、何をどれだけ購入し