4月21日の新聞各紙の報道。 松本清張が,『日本の黒い霧』で,共産党元幹部の伊藤律を特高警察のスパイだったなどと記述していることについて,遺族から誤りだと指摘された発行元の文藝春秋が,異例の断り書きを入れることが,遺族側への取材で分かった。遺族側は事実上の訂正とみて評価している。 文藝春秋が遺族側に提示した断り書きでは,資料の乏しかった執筆当時の時代背景を説明し,「現在から見れば伊藤氏が戦前戦後の政治情勢,共産党内部の対立の中で運命を翻弄されたことは明らかです」としている。次男の淳さん(66)は「今年は父が生まれて百年,党の除名から六十年。大きな一歩になった」 と述べた。 伊藤は共産党から 除名処分を受け,渡航先の中国で二十七年間投獄。1980年に帰国したが,9年後に死亡した。 成田龍一(日本女子大学)は,文藝春秋の対応を評価し,「一つの解釈を削除すると,その解釈があったという歴史自体を消