「海洋放出が最も安全かつ妥当」な理由 『新基金は500億円、原発処理水放出の風評対策 漁業者の理解は』──。 2022年11月4日。朝日新聞は、東京電力福島第一原発から来春に海洋放出されるALPS処理水の風評被害対策費として、政府が500億円規模の新たな漁業者支援基金をつくることを報じた。 福島第一原子力発電所では、建屋内で放射性物質に触れた汚染水が発生し続けている。これを暫定的に貯蔵するタンクが敷地内に林立し、廃炉作業の大きな障害になってきた。 もっとも、これらを処分せず溜め続けた理由は技術的な問題では全くない。事故当初と異なり、すでに何年も前から汚染水は多核種除去設備(通称「ALPS」)を用いることでトリチウム以外の放射性物質を規制基準以下まで浄化することが可能になっていた。残るトリチウムは非常に弱いベータ線を出すものの、充分な希釈でリスクは無くなる。 そもそもトリチウムは自然界でも常