手嶋 龍一氏に聞く:2007年、アジアの隠れた“火薬庫”は台湾海峡 (聞き手:諏訪 弘=フリーライター) (前回記事はこちら) ■「台湾海峡の危機」とは具体的にはどういうものですか。 手嶋 日本に大きな影響が及ぶ東アジアの有事は、台湾海峡と朝鮮半島にあります。台湾海峡と朝鮮半島の順で申し上げたのは理由があります。朝鮮半島で武力衝突が起きても、米中両大国が直接武力で衝突する事態とはならない。しかし、台湾海峡を挟んでは、この両大国が戦火を交える最悪のシナリオを想定しておかなければならないからです。 戦略的思考の要諦は、想像すらできない事態を思い描いておけ、というものです。しかしながら、台湾海峡の危機は戦略を扱う人々の思考にどっしりと根をおろしている。現に1996年には米中の危機が現実のものになりました。この年、台湾の総統を初めて民主的に選出する直接選挙が行われることになりました。中国