(井元 康一郎:自動車ジャーナリスト) 岸田首相「具体的な検討はしていない」のまやかし 10月26日に行われた政府税制調査会(税調)で浮上したクルマの「走行距離課税(仮称・以下走行税)」。クルマが走った距離を記録し、それに比例して税を徴収するという考え方の新税である。 走行税が俎上に乗せられたのは今回が初めてではない。2018年にはすでに自民・公明両党による税制改正大綱に自動車課税に関して「保有から利用へ」という文言が盛り込まれており、その段階で走行税の導入に関して啓蒙的な情報発信がなされていた。 その後、コロナ禍で税制改正どころの騒ぎではない事態が続いたぶん、2023年度の税制改正大綱は政府にとってはリターンマッチのようなもの。鈴木俊一財務大臣は「中長期的な課題」とマイルドに表現しつつ、来年度の大綱に走行税を盛り込む意欲を示した。 当然世間からは反発が起こる。平均走行距離が長い地方部では
海上保安庁の巡視船(手前)と、海上自衛隊の護衛艦による合同訓練=今年6月、東京・伊豆大島東方海域(海上保安庁提供) サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本代表は4度優勝を誇るドイツを相手に2―1で歴史的勝利を挙げました! 前日には、サウジアラビアが強豪アルゼンチンから大金星を挙げたため、国王は「試合翌日を祝日にする」と急遽(きゅうきょ)発表しました。 日本も祝日にできないものか? 無理は承知の上で、ツイッター上で法律に詳しい人たちが話題にして可能性を探っていました。 「祝日法の改正は国会を召集しなければいけないから、やっぱり無理か?」「いや、建国記念の日なら政令でいける!」 確かに、祝日法第2条では「建国記念の日」は「政令の定める日」となっており、特定の日を指定していません。一日限定とも書いていない。となれば、臨時の持ち回り閣議で「2022年11月24日を建国記念の日とする」
小麦はロシアがウクライナに侵攻する以前から、昨年の干ばつで日本が依存する北米産が不作になったことから値上がりし、これが今年4月の政府の売り渡し価格の引き上げにつながった。そこにウクライナ侵攻が加わって、両国からの輸出が滞り、国際価格はさらに上昇。サプライチェーンの混乱やエネルギー価格の高騰もあって、世界中にインフレの波が押し寄せ、日本国内でも食料品の値上がりが相次ぐ。 そうしたところに、今年も干ばつによる小麦の不作が伝えられる。小麦の自給率15%(2020年度)の日本への影響も避けられない。国内でも穀物の自給率向上へと政策が迫られているが、世界に目を向けると、こうした食料危機に対処するため、遺伝子組み換え(Genetically Modified、以下GM)作物が存在意義を示している。これまで認められてこなかった小麦のGM種の作付けも、世界4位の生産量を誇るアルゼンチンで始まっている。 生
中心の2社が最初に分配 国家プロジェクトを円滑に進めるための「調整」か、高値発注を可能にして利益を業界で分配するための「談合」か──。 東京地検特捜部と公正取引委員会が、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑の捜査を進め、家宅捜索を繰り返す五輪談合は、いつものように業界側の見解と検察側の論理が対決する事件となっている。 東京五輪・パラリンピックのテスト大会は表のように9社と1共同事業体が、26会場約5億4000万円の業務を分け合った。全体を仕切る広告代理店の電通が5件、イベント制作会社のセレスポが5件を受注。談合の中心はこの2社。談合のセオリー通り、“汗”をかいた両社が最初に分配を受け、後はバランス良く配分された。 テスト大会はほとんどが1社入札で、その後の本大会運営はテスト大会の受注業者が随意契約を結んだ。両方合わせて約200億円の談合事件である。過去に摘発された事件と比べて遜色のない金額
フィンランド、ヘルシンキ。デザインや福祉国家としてのイメージが強いこの都市に、欧州随一のサイバーセキュリティサービスを提供する会社がある。 WithSecure社(旧F-Sucure)は1988年の創業以来拡大を続け、現在は日本でも富士通やSHARP等数々の大企業と提携するグローバル企業だ。ウィルス・ハッキング対策だけでなく、包括的なコンサルティングも多岐にわたり提供するWithSecure社で、30年以上ネット犯罪の現場を目撃してきたのが現CRO(主席研究員)ミッコ・ヒッポネン氏。TEDトークにもしばしば登壇するサイバーセキュリティ界の世界的権威である同氏が今、日本企業に伝えたいこととは。 現代ネット社会におけるセキュリティ脅威 「銀行強盗」という言葉、最近はめっきり聞かなくなりましたよね。フィンランドで最後に起きた銀行強盗は約12年前で、それ以来物理的な銀行強盗は起きていません。銀行の
日本向けECサイト設立からわずか2年でH&MどころかGUの売上も超えたと推計される中国発越境ECサイト「SHEIN」(シーイン)。契約インフルエンサーの投稿がSNSに氾濫するのに加え、原宿に世界初の常設ショールームを開設して6000人が行列する騒ぎになり、あたかも08年にH&Mが上陸した時のごとくマスコミが囃し立てているが、「『SHEIN』には目を背けてはいけない問題がいくつも指摘される」。そう警鐘を鳴らしているのはアパレルの流通に詳しい流通ストラテジストの小島健輔氏だ。 「SHEIN」、日本での売り上げ1400億円突破…!? 「SHEIN」が日本向けECサイトを開設したのは2020年末。そこからわずか一年足らずの21年11月末で公式インスタグラムのフォロワー数は23万人に達し、直近では60万人に迫っている。 8000億円を売り上げた21年の米国のフォロワー数が141万人だったから、単純計
コロナ禍が落ち着きを見せる中にあって、韓国では海外就職の動きが活発になってきている。従来は「日本就職」が人気だったが、ここへきてそこに“異変”が起きているという。 これまで韓国の学生の日本での就職を斡旋してきた斡旋業者の担当者は「旅行、サービス業への就職を志願する学生が減っている」と言い、問い合わせや志願希望者が激減状態だというのだ。 その背景の一つには「日韓の給料格差」があり、じつはすでに日本が平均賃金で韓国に抜かれているという現実がある一方で、さらにほかにも事情があるようで……。 そんな日韓の最新事情をレポートしよう。 韓国若者たちの「就職観」 もちろん、職種によっては日本に就職口を求める学生も多いことを考えれば、旅行やサービス業種で起きている例は一部であり、一概に「日本での就職が人気がなくなった」「日本の給料水準が上がらないことが原因」とは言い切れない部分もあると言えるかも知れない。
2010年に地球に帰還した日本の小惑星探査機「はやぶさ」から回収されたサンプルを調査した結果、地球に水がもたらされたのは水素イオンを含む太陽風のおかげであった可能性が示唆されました。 Solar wind contributions to Earth’s oceans | Nature Astronomy https://doi.org/10.1038/s41550-021-01487-w The Sun Could Be The Mystery Source of Earth's Unexplained Water, Scientists Say https://www.sciencealert.com/scientists-identify-an-overlooked-source-for-some-of-our-planet-s-water-the-sun 地球の表面の70%は水で覆
京都大学と物質材料研究機構(NIMS)の研究グループは、ビスマス系高温超伝導ウィスカー結晶を用いたテラヘルツ発振素子の開発に成功した。同時に、ウィスカー結晶の発振特性も明らかにした。 超伝導テラヘルツ光源の作製工程を大幅に短縮、適切な材料選択も可能に 京都大学大学院工学研究科の掛谷一弘准教授と物質材料研究機構(NIMS)の齋藤嘉人NIMSジュニア研究員および、高野義彦MANA主任研究者による研究グループは2022年11月、ビスマス系高温超伝導ウィスカー結晶を用いたテラヘルツ発振素子の開発に成功したと発表した。同時に、ウィスカー結晶の発振特性も明らかにした。 8K動画など大容量のデータを高速に通信するため、次世代高速無線通信ではテラヘルツ波帯の応用が検討されている。こうした中で注目されているのが、ビスマス系高温超伝導体を用いた超伝導テラヘルツ光源である。ただ、平板状単結晶を用いる従来の超伝導
京都大学宇宙総合学研究ユニット特定助教、科学哲学者。1986年、長野県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。一橋大学大学院非常勤講師などを経て現職。 澤本嘉光さんを導き手に、世の中に潜む「異人」を巡り歩く「異人探訪記」。今回は「宇宙倫理学」をテーマに、「京都大学宇宙総合学研究ユニット」(以下、宇宙ユニット)の清水雄也先生をお訪ねしています。進行役の清野由美です、よろしくお願いいたします。ところで、清水先生は「先生」と呼ばれるのが苦手とか。 清水雄也さん(以下、清水):はい。どうかやめてください(笑)。 承知しました。まずは、宇宙倫理という未知の領域に入り込む前に、澤本さんと清水先生、いや、清水さんとのなれそめからうかがってもよろしいでしょうか。 澤本嘉光さん(以下、澤本):2016年に電通が社内横断組織の「宇宙ラボ」というものを立ち上げました。簡単に言うと、宇宙開発技
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