十人が火災で死亡した群馬県渋川市の老人施設「たまゆら」を運営していたNPO法人(解散)の元理事長に有罪を言い渡した十八日の前橋地裁判決。火災から三年十カ月となる今でも、身寄りのない低所得の高齢者を受け入れる認可施設は足りないままだ。たまゆらのような無届け施設が受け皿を果たしている事情は変わっていない。 NPO法人「ふるさとの会」(東京都台東区)はたまゆら火災で行き場を失った元入所者の三人を受け入れた。林栄さん(83)は会が運営する無届け施設「自立援助ホームふるさと晃(あきら)荘」で暮らす。 軽い認知症がある。昨夏は二度、かつて暮らした東京・錦糸町で帰り道が分からなくなった。二十代で結婚したが、長女の誕生後に離婚。二十年の独り暮らしで体調を壊し、生活保護を受けるようになった。たまゆらでは「みんなとカラオケをするのが楽しかった」とほほ笑む。 たまゆらで亡くなった十人のうち六人は墨田区の生活保護