3.11震災以降、「日常」という言葉をよく目にする。震災によってそれは送り過ごすものから取り戻すべき対象に変わった。時に「有事」という言葉が添えられ、あたかも戦争下に置かれているかのような比喩も目にする。 さすがに戦争の例えは行きすぎている。第一、倒すべき敵が存在しない。確かに一部の買い占め部隊の方々は見えない敵と戦っている風ではあるが、一過性の穏やかなパニックにすぎない。 けれどこうした状況下で、僕らは確かにさまざまな「やるべきこと」に囲まれている。節電、自粛、それらの揺り戻しとしての消費活性化、被災者への寄付、そして祈り。「まずは自分たちのできることから何かやろう」。こうした言葉は、様々なメディアを介して耳目に触れる。 一方、マクロのレベルでも事態は少しずつ変わり始めている。モノの値段が一部は上がり、一部は下がっている。それまで特に大きく変わる理由のなかったものも、数字が動いている。ま