前回は、被災地の震災がれきが環境省の発表数字よりもはるかに片付いている理由を紹介した。2月に現地を見て、もう1つ驚いたことがある。復興のボトルネックと言われていた震災がれきが片付いたのにもかかわらず、市街地の復興はペースアップするどころかペースダウンしているようにも見えたことだ。 原形復旧のジレンマ 今回の大震災からの復旧・復興事業では、公共施設の原形復旧とグレードアップ復旧の2つの考え方の間に溝が生まれている。 特別の事情がない限り、災害復旧事業は原形復旧の原則で行われる。これは縦割りの組織において、「他機関が所管する施設は災害前の状態に復される」という暗黙の前提に立てるので、他機関との総合調整が不要で、自機関が所管する施設の復旧だけを迅速に予算化し、着工できるというメリットがある。 これに対し、グレードアップ復旧では、海岸堤防の高さと道路の高さ、上下水道管敷設の勾配のように、複数の機関
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