大阪府知事から大阪市長へと前代未聞の転身を遂げ、「既得権の破壊」を声高に叫ぶ橋下徹氏。次は国政進出をも狙う彼の快進撃を支えているのが、将来不安が増すばかりの府民、市民の不満であることは明らかだろう。 「橋本氏躍進の根本にあるものこそがデフレ」――。日経ビジネス3月26日号の特集「さらばデフレ消耗戦」の取材で、興味深い解説を聞いた。大和総研顧問の原田泰氏である。 原田氏は「デフレの毒が顕著に回っているのが地方。単に物価が下がるだけならいいが、それに伴って景気が停滞し雇用・賃金もじわじわと低下し続けた。円高によって地方の雇用を支えていた製造業の生産拠点も次々と海外に出ていき、地方では高所得の職が公務員などに限られるようになった。当然、市民の間で公務員に対する反感が増幅する。この空気をうまく読んでいるのが橋下氏だ」と指摘する。 上のグラフは、大阪市が公表する市内雇用者の現金給与総額(月額、5人以