その時別に四人連れの登山者が登山道を上りかけていたが、爆発しても平気でのぼって行ったそうである。「なになんでもないですよ、大丈夫ですよ」と学生がさも請け合ったように言ったのに対して、駅員は急におごそかな表情をして、静かに首を左右にふりながら「いや、そうでないです、そうでないです。――いやどうもありがとう」と言いながら何か書き留めていた手帳をかくしに収めた。 寺田寅彦「小爆発二件」 (http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2507_13840.html) の一節です。この直後、有名なあのアフォリズム、「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」が登場します。 この登山者たちはどうなったのでしょうか? 文中からははっきりとはわかりません。 原発事故の直後、「正当にこわがることは難しい」と