さて、まずは「カノン神学」について述べるとすると、この問題は思ったよりも難しくはありません。というのも、仮にカノン神学が適用できるような作品において、そのカノン神学を逆にひっくり返してやればどうなるのかを見れば、この神学の表面的な意味がナンセンスであることがすぐにわかるでしょう。つまり、選ばれなかったヒロインが可哀想になりそうなシナリオ全般を、選ばれなかったヒロインが別段不幸にもならないような設定に替えちゃえばいいのです。すると、どうなるのか。いろいろと細かいお話を抜きにすれば、まず基本的にはわりと「どうということはない」ということになるでしょう。これは考えてみれば当たり前の話で、A~Cのヒロインが三人いて、一人選択すると他の二人が撲殺されるようなシナリオにおいて、その撲殺設定が無くなったとしても、べつにA~Cの個別シナリオ自体には大した変化はありませんよね。変化があるとすれば、それは物語