ここのところ、民主党政権の混迷に関して思うところを書いてきたが、きちんと考えてなかった重要な問題として、1990年代末以降に激増した年金生活者や非正規雇用者に対して*1、民主党をはじめとする各政党が支持獲得の仕方を間違えてきたことを指摘する必要がある。 かつて55年体制下では、大雑把に言えば、自民党が財界と農家・漁業者の利害関心を代表し、野党と左派政党が労働組合や教職員・知識層の利害関心を代表していたことはよく知られている。自民党と民主党の違いも、ある程度はこの対立構図を引き継いでいる面がある。こうした既存の政党の旧来の支持層は、基本的に「まともな仕事についている」人たちだった。だから、彼らを政治的に動員するためには、農協や労組などの産業団体や職場組織などにターゲットを絞ることが標準的な手法だった。補助金行政や公共事業政策も、それによって恩恵を受ける人が多かった時代は、メディアからの批判が