福島第1原発の事故をめぐり、数兆円に及ぶ巨額の補償を迫られる東京電力の清水正孝社長(66)は13日、参考人として出席した参院予算委員会で、企業年金についての削減は考えていないことを明らかにした。日本航空破たんの際には、企業年金が減額されただけに、増税や電力使用料の値上げが避けられない国民からの反発は必至だ。 同委員会で質問したみんなの党の中西健治氏に対し、清水社長は「(社員の)老後の生活にも直結し、現時点で検討していない」と明言。この発言に、菅直人首相は「国民の納得が得られるかどうか判断してほしい」と、改めて減額を促した。 同社の企業年金は1人月額40万円以上とされ、賠償金の原資捻出に伴うリストラの有力候補だが、減額には同社OBと現役社員の3分の2の賛同が必要。トップ自らが早くも予防線を張った格好だが、老後どころか現在の生活のすべてを奪われた原発避難者からは怒りの声があがりそうだ。