(2014年4月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 鄧小平は「一部の人をまず先に豊かにさせよう」と言った。鄧小平は中国について語っていたが、アジア全体について話していてもおかしくなった。 過去20年間、アジアの大半の地域で見られた急成長は貧富の格差を拡大させた。ある開発担当の役人によると、それが中南米との「大いなる収斂」をもたらしているという。アジア開発銀行(ADB)のヴィノッド・トーマス事務局長によれば、南米や中米の多くでは格差が縮小している一方、アジアでは反対方向に向かっている。ジニ指数で測定したアジアの格差は、1990年代から2000年代にかけて毎年約1%のペースで拡大してきた。 ADBは新たな報告書で、成長が貧困削減、格差、社会福祉に与えてきた影響を調査している。報告書は、成長の原データは、国の業績を評価するうえで、もはや最重要要素としての役割を果たすべきではないと結論付けた