近年地方分権についての議論が花盛りである。民主党の某幹部の説明では地方分権とは中央政府の保持する権力を地方自治体(地方政府)へ委譲することをいうらしい。しかし既に述べたように権力(right)の唯一の保持者は個人であるから、この委譲とは権力ではなく権限(authority)とでも解するのが正当であろう。 用語の問題はさておき、リバタリアンの立場からこの問題を考えるとき、参考になるのはレプケ(Wilhelm Röpke)の「階層的秩序の補助性の原則」(Prinzip der Subsidiarität)であると思う。この言葉はカソリックの社会理論からの借用であるとレプケはいうが、その意味するところは概ね以下の通りである。 我々は個人から家族、地方自治体(市町村、都道府県)を経て国家(中央政府)に至る階層的秩序の中で生活しているが、本来の権利(権限)は下の方の階層にあり、高い方の階層はすぐ下に