いま、英語で“ダイアローグ”と呼ばれる「対話」がちょっとしたブームになっている。「対話」が持つ力が再認識されている、あるいは再構築されていると言った方がいいかもしれない。 さまざまな社会問題の解決に対話の力を活用するというと、それは理想主義的すぎると感じる人も多いだろう。筆者自身も「念仏さえ唱えていれば、世界は平和になる」という考え方には与しない。しかし、解決すべき社会問題はますます複雑になっているし、個人の価値観や文化の問題も絡んでくると、力だけでは世界をより良き方向に変えることは不可能であることも事実だ。 途上国に学校を作るというシンプルなアクションでさえ、対話が必要だ。先進国のNGOが学校を建て、子供たちが勉強できるようになるというのは、僕らの感覚からすれば良いことに違いないが、現地の農家の親にとっては、貴重な労働力を奪われることにもなる。「長期的に見れば、子どもに教育を与えた方が得
