「これまで多くの寵愛を受け、また、少なからぬご迷惑をかけました。ありがとうございます。私は今日旅立ちます。皆さん、さようなら」 1974年2月8日付の東亜(トンア)日報に風変わりな訃報広告が掲載された。この5日前、享年80才で他界した元報道関係者の秦学文(チン・ハクムン)氏が事前に作成した自身の訃報だった。東亜日報創刊の立役者であり、全国経済人連合会副会長を務めた秦氏は、葬儀を行った後に掲載してほしいと、生前に別れのあいさつを書いた。 ◆「こんにちは。アート・バックウォルドです。私は少し前に死にました」。2007年1月18日、ニューヨークタイムズの電子版に、前日に死亡した米国の人気コラムニストが自分の死を伝える動画が掲載された。事前に肉声で製作された映像だった。隣国日本でも、2011年の大地震の後、自分の訃報や遺言を書いておく人が増えたという。昨年上映された日本のドキュメンタリー映画「エン