原発の解体や処分にいったいいくらのカネがかかるのだろうか? 「実は、以前から『廃炉』の費用は徴収されているんです」と語るのは、立命館大学国際関係学部の大島賢一教授。 「’89年に『原子力発電施設解体引当金』制度が整備されました。以後、廃炉(解体と解体廃棄物処分)に備える費用が、電気料金から徴収されているんです」 しかし、これは実態を無視した「どんぶり勘定」だという。 有価証券報告書によると、東電は、原発1基当たりの解体見込み額を年間10億8000万円と単純計上しているだけ。例えば、39年稼働の福島第一原発1号機は、この金額に39をかけた約421億円。同じく2号機(稼働36年)、3号機(34年)、4号機(32年)を計算すると、合計1523億円にすぎない。’09年度末で東京電力が確保している解体引当金は、原発17基に対して5100億円。これだけで、本当に福島4基の廃炉ができるのだろうか