(2011年8月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 野田佳彦氏が30日、小泉純一郎氏の退任以来、5年間で6人目の首相に就いた。与党・民主党が就任わずか1年余りで菅直人氏をお払い箱にし――表向きは菅氏が辞任した――、29日に野田氏を党の代表に選んだからだ。 野田氏はあまり高い期待を持たせることはなかった。代表選の投票直前の演説では、自分は金魚のように派手ではなく、むしろドジョウに近いとし、水底の魚のように日本の「泥臭い政治」の中を汗をかいて前進していくと語った。 透明性のない政治プロセス 「泥臭い」という言葉は的を射ている。日本人は国の方向性を示してくれる強い指導者を求めていると言う。 だが、そうした指導者が選ばれ、すぐに追い出される政治プロセスは、透明とはまるでかけ離れているのだ。 過去6人の首相のうち、総選挙で選ばれたのは、民主党の哀れな指導者、鳩山由紀夫氏だけだ。残る5人は皆、党