閉鎖されるまで1000隻以上の船を建造・修理した浦賀のレンガドック。長さ約180メートル、幅約25メートル、深さ約10メートルとその巨大さに驚く =神奈川県横須賀市(鴨川一也撮影) 海沿いにぽっかりと開いた大きな穴。下から上まで、小さなレンガが無数に積み重なっている。 神奈川県横須賀市にある造船所跡、通称「浦賀ドック」。レンガ造りのドライドックは世界に4カ所しか存在しないとされており、そのままの形で残っているのは国内にはここだけだ。 海から深く入り江が切り込む浦賀は天然の良港で、古くから海上交通の要衝として栄えた。嘉永6(1853)年、沖合に米国のペリー艦隊が来航すると、近代的な船舶建造の機運が高まり造船業が盛んになった。 山を切り出して建造中のドック =明治30年から32年ごろ(横須賀市自然・人文博物館提供)そんな浦賀にドックができたのは明治32(1899)年。財閥主導の開発が盛んな時流