川淵三郎氏(三尾郁恵撮影)近頃、安易に凶悪犯罪に手を染める若者が多い。そんなニュースに接して思うのは、人が本来、身に付けているべき道徳や倫理の欠如だ。道徳は「困っている人を助ける」「周囲に迷惑をかけない」といった普遍的な良識で、倫理は道徳をベースにおのおのが課す信条のようなものだ。たとえば「虫を殺さない」といったことを徹底する人もいる。 「噓は悪い」「勤勉は美徳だ」と言って聞かせてもなかなか身にしみないが、「狼(おおかみ)少年」や「アリとキリギリス」といった童話を通して実感すると、いつまでも忘れない。寓話(ぐうわ)や神話から学ぶことも道徳や倫理を育むには有効だろう。 サッカーを例に挙げると、競技規則は17条までしかない。シンプルであるがゆえに、想定外の状況に直面した際に判断しかねる事態も生じる。最重要とされるのは明文化されていない「18条」で、「常識、良識」と解されている。道徳や倫理は、い