3日午前6時31分ごろ石川県能登地方で発生した最大震度5強の地震では、首都圏や近畿圏でもスマートフォンや携帯電話に「地震です」などと緊急地震速報が通知された。しかし、実際の揺れは予測されたよりも小さかった。気象庁は過大評価した詳しい原因を調べている。 緊急地震速報は、震源近くの地震計で、早く伝わる弱い揺れ「P波」を検知し、遅れてやってくる強い揺れ「S波」への警戒を促す。速報の警報は、震度4以上の揺れが予測される地域に気象庁が発表し、携帯電話事業者がスマホなどに通知する仕組みだ。 3日朝の地震では、P波を検知し始めて5・3秒後、富山湾でマグニチュード(M)7・4の地震が発生したと推定。能登で震度6弱~7程度、東京や大阪、東北などでも震度3~4程度が予想されるとして、広範囲に警報を発表した。 しかし、実際の地震の規模はM6・0だった。マグニチュードは1違うだけで地震のエネルギーは約30倍も異な
教科書検定で指摘を受けた申請段階の令和書籍の教科書。「現存する世界最古の国家は、我が国なのです」という記述は改められた=東京都千代田区で2024年、宮武祐希撮影 文部科学省は19日、2025年度から中学生が使う教科書の検定で「未了」となっていた社会の歴史の2点について、合格にしたと発表した。過去4回にわたり不合格とされた「令和書籍」の教科書で、日本を「現存する世界最古の国家」とした記述など100カ所以上を修正して検定を通過した。 同社は多くの欠陥を指摘されたこれまでの申請図書を「文部科学省検定不合格教科書」と銘打ちネットなどで販売してきた。保守色の強い中学の歴史教科書は、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆した自由社版や、育鵬社版などがあるが、文科省によると、24年度の需要に対するシェアは両社合わせて約1%にとどまる。 「令和書籍」の社長は作家の竹田恒泰氏。21年度検定版として販
保守政治行動会議(CPAC)の集会で演説するトラス前英首相=米東部メリーランド州で2024年2月22日、AP 英国のトラス前首相(保守党)が、自身は「ディープステート」(影の国家)のせいで退陣に追い込まれたと主張し、波紋を広げている。この言葉はトランプ前米大統領(共和党)の支持者らが使う陰謀論で、米民主党幹部や小児性愛者らによる組織を指すとされ、この組織が「世界を牛耳っている」などと言われる。首相経験者が公然と陰謀論を肯定したことで、英国内ではトラス氏の議員辞職を求める声も出ている。 トラス氏は2022年9月に首相に就任したが、財源の見通しがないまま大型減税の方針を打ち出したことで、通貨ポンドが急落するなど市場が混乱。その責任を取る形で、在任期間わずか50日で退陣した。 トラス氏は今月22日、米東部メリーランド州で行われた「保守政治行動会議(CPAC)」に参加。その際、トランプ氏の側近だっ
日本政府が旧ソ連の「グルジア」の国名呼称を「ジョージア」に変更してから6年近く。同国出身の力士・栃ノ心の活躍やラグビー代表のワールドカップ(W杯)日本大会(2019年)出場などもあり、ジョージアの国名は広く浸透している。当初、長年親しまれたグルジアの改称に“違和感”を持たれる向きもあったが、100年前に日本が初めて国家承認した当時はジョージアと呼ばれていたことが同国の在日大使館職員の研究で近年明らかになった。つまり、ジョージアは元々の呼称に戻ったことになり、両国間の秘められたエピソードといえそうだ。 在日ジョージア大使館のダビド・ゴギナシュビリ専門分析員(37)は、首都トビリシのアジア・アフリカ大東洋学部で日本語と国際政治を学び、慶応大で博士号を取得。日本とジョージアの関係史を研究する中、外務省外交史料館で19世紀末から20世紀初めの複数の日本側文書に「ジョルジア」または「ヂョルジア」と表
参院予算委員会で質問をする共産党の田村智子氏=国会内で2023年11月28日午後3時15分、竹内幹撮影 自民党派閥を巡る裏金事件で国民の政治不信が極まる中、野党として政権を監視する役割をどれだけ果たせるかが問われる。 共産党の新委員長に、田村智子政策委員長が選出された。志位和夫委員長の後継となる。 1922年の結党以来、女性党首の誕生は初めてだ。ジェンダー平等を掲げる党として、女性登用に積極的な姿勢を示した。 志位氏は2000年から委員長を務め、歴代最長の23年余の在任に「長すぎる」との批判が出ていた。長年、党の理論的支柱だった93歳の不破哲三前議長は指導部から退き、世代交代を印象付けた。 志位委員長時代、共産は現実路線へと転換を図った。04年の綱領改定で、天皇制や自衛隊を当面、容認する方針に転じた。 国政選挙では野党共闘を働きかけた。改選数1の多くの選挙区で候補者擁立を見送ったことが、1
細田博之衆院議長が13日開いた記者会見は、参加する記者を1社1人に限定した上、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係やセクハラ疑惑について曖昧な説明に終始した。企業の危機管理に詳しい西山守・桜美林大准教授は「民間企業ではありえない対応。単純に比較できませんが、ジャニーズ事務所の会見よりもひどかったとも言えます」と厳しく批判した。 細田議長は教団と自身の関係について2022年9月に説明文書を公表したが、1年以上も会見に応じてこなかった。西山氏は「企業が不祥事を起こした場合、こんなに長期間会見を開かないのは許されません。過去には社長のパワハラが問題視された企業が、会見も辞任もせずに株価が低迷した例もあります」と指摘する。
V-Dem研究所発表の今年の報告書に載った「2021年の自由民主主義の状況」。濃い赤はより権威主義が強いことを示し、濃い青はより民主的であることを示す=同報告書より ロシアのプーチン大統領はさぞや驚いたことだろう。軍事力やカネではなく、ウクライナ侵攻で危機にさらされた自由や民主主義といった概念が、ウクライナ人や西側の政治家をこれほど動かすなんて。だが、世界に目を向けると、民主主義の価値を信じる人々は減少しているようだ。強権的な政治家が権力の座につき、アメリカのような自由民主主義(リベラルデモクラシー)の国でも民主主義が劣化している。なぜ民主主義が後退しているのか? 処方箋はないのか? 世界各国の民主主義の動向を調査してきたV-Dem研究所(スウェーデン)の東アジアセンター所長を務める粕谷祐子・慶応大法学部教授(比較政治学)に聞いた。【國枝すみれ】 露のウクライナ侵攻の影響は? ――ロシアに
政務官との記念撮影に臨む岸田文雄首相(最前列左から3人目)=首相官邸で2023年9月15日午後6時13分、竹内幹撮影 岸田政権の内閣改造で、副大臣・政務官計54人が全員男性だったことに「女性活躍への逆行だ」などと批判が相次いでいる。朝日新聞の論説兼編集委員の高橋純子氏は民放番組で「おぞましい」と述べた。一方、高橋氏の発言にも「男性差別だ」などと反発する声がインターネット上で多数出ている。なぜ、このような事態になるのか。【金志尚】 高橋氏は17日放送のTBS系報道番組「サンデーモーニング」に出演。副大臣・政務官への女性起用がゼロだったことについて、「54人全員スーツでネクタイの男性だけが並んでるって、非常におぞましいですね」と発言した。
共産党が執行部の若返りに向けた準備を加速している。近年は国政選挙のたびに議席を減らし、在任期間が20年を超える志位和夫委員長(69)への批判につながっていることが背景にある。来年1月には4年ぶりとなる党大会を控えており、党幹部人事にも注目が集まっている。 共産は6月23日、参院議員の田村智子政策委員長(58)が次期衆院選で比例東京ブロックからくら替え出馬すると発表した。田村氏は安倍晋三元首相の「桜を見る会」問題の追及で注目された。「次世代のエースの一人」(党関係者)とされ、翌24日付の機関紙「しんぶん赤旗」はくら替えを1面トップで報じた。 国対委員長を26年間務めている穀田恵二衆院議員(76)と、政策委員長などを務めた笠井亮衆院議員(70)は次期衆院選に立候補せず、今期限りで引退する。穀田氏の後任の国対委員長には塩川鉄也国対委員長代理(61)が昇格する見通しで、次期衆院選比例近畿ブロックで
知人の出征時、国旗にした寄せ書きのコピーを手に戦時中を振り返る中津川賢三さん=群馬県伊勢崎市南千木町で2023年7月31日午後2時26分、大澤孝二撮影 群馬県伊勢崎市の中津川賢三さん(87)には忘れられない記憶がある。1945年8月15日未明にかけて米軍により攻撃された「伊勢崎空襲」で、夕日のように燃えさかる集落を目にした。戦闘機は低空飛行しながら機銃掃射を浴びせかけた。「ダッダッダッダッ」とうなる音におびえながら、命からがら逃げ延びた。「少しでも動いていたら撃ち抜かれていたかも、と今でもぞっとする」と振り返る。15日は終戦の日。【大澤孝二】 突然の出来事だった。当時住んでいた同市内の自宅で空襲警報のサイレンが聞こえ、地響きのような衝撃が走った。9歳だった。父の常平さんが草津の硫黄鉱山の採掘作業から3カ月ぶりに戻り、家族でゆっくり過ごして就寝したばかりだった。
セッションに登壇したBPO放送倫理検証委員会の小町谷育子委員長(左)とフリージャーナリストの池上彰氏=東京都千代田区で2023年7月14日午後3時20分、平本絢子撮影 放送倫理・番組向上機構(BPO)の設立20周年を記念したトークセッション「変わる視聴者 明日の放送は…」が14日、東京都千代田区の千代田放送会館で開かれた。BPO関係者やテレビ局のプロデューサー、メディア論の専門家らが、放送業界が抱える課題について議論を深めた。 セッションは2部構成で、コーディネーターとしてフリージャーナリストの池上彰氏が登壇。第1部は「SNS全盛時代!放送局は炎上やネット世論にどう対応していくべきか」と題し、BPO放送人権委員会の曽我部真裕…
日本学術会議は16日、東京都内で総会を開き、会員の半数にあたる次期会員候補105人の名簿を承認した。菅義偉前首相から3年前に任命を拒否された会員候補6人は名簿に入れていない。任命拒否問題がいまだ解決に至らないまま名簿に加えることは、政府の任命拒否を追認しかねないと判断した。学術会議は引き続き、6人の任命を政府側に求めていく。 学術会議会員の定員は210人で任期は6年。3年ごとに半数を改選する。現会員のうち105人の任期は9月末までで、任命拒否が明らかになってから初めての改選となる。
日本共産党が7月15日で結党100年を迎える。名前を変えず1世紀続いた日本唯一の政党であり、西側諸国最大の共産党でもある。過去に20年間、共産党に籍を置いた人間として、歴史と現在を素描したい。 侵略戦争に反対し続けた輝かしい党 かつて、哲学者の鶴見俊輔さんは、共産党を北斗七星にたとえた。戦前から一貫して侵略戦争に反対し続けた共産党は、自分がどれだけ時流に流されたかを測る「動かぬ座標」だと。確かに、共産党の政党政治内の位置は、戦後もほぼ常に最左派で一貫性がある。 そんな輝かしい党だが、党員は1987年の48万人から27万人、衆院議員は79年の39人から10人、参院議員も98年の23人から13人に減った。党員は高齢化していると聞く。衰退傾向は否めない。私の経験に、理由のヒントがあるかもしれない。 私は、共産党員の両親の下に生まれた。高校生の頃、上田耕一郎さん(後に副委員長)らの論文に感動して、
女性トイレの利用を制限された性同一性障害の経済産業省職員が国に処遇改善を求めた訴訟の上告審判決が言い渡される最高裁第3小法廷。奥中央は今崎幸彦裁判長=東京都千代田区で2023年7月11日午後2時59分、渡部直樹撮影 戸籍上は男性で、女性として生きる50代の性同一性障害の経済産業省職員が、女性トイレの利用を不当に制限されたとして国に処遇改善を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(今崎幸彦裁判長)は11日、経産省の利用制限を認めない判決を言い渡した。2審・東京高裁判決(2021年5月)は制限の合理性を認めて原告側敗訴としていたが、原告側の逆転勝訴が確定した。経産省は制限の見直しを迫られる。 最高裁が性的少数者の職場環境の在り方に判断を示すのは初めてで、裁判官全員一致の意見。今崎裁判長は補足意見で「判決は不特定多数の人が利用する公共施設のトイレ利用の在り方に触れるものではない」と付言したが、判
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