人工衛星の観測値から推計されている大気汚染ガスの一つ、二酸化窒素(NO2)の濃度は、微小粒子状物質PM2.5の影響などで実際より3〜5割低く見積もられている可能性が高いことが、海洋研究開発機構などの研究で分かった。論文が12日までに、欧州地球科学連合の専門誌に掲載された。 NO2は工場や自動車などから排出される窒素酸化物(NOx)の一種で、酸性雨の原因となるほか呼吸器などに影響をもたらし、PM2.5の生成源になるとされる。 海洋機構・地球表層物質循環研究分野の金谷有剛分野長代理らのチームは、NO2濃度が高い日本、中国、韓国の都市部のほか、長崎県・五島列島や沖縄県・辺戸岬など空気のきれいな場所に観測機器を設置。2007年から12年末までの約6年間、計7地点で観測を続け、米国などの衛星観測データと比較した。 その結果、PM2.5など大気中の粒子状物質が多く、地表付近のNO2濃度が高いほど