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怪奇譚に関するmurashitのブックマーク (5)

  • 拡張学級 - 回転図誌

    クラスメイトの小早川が帰らぬ人となった。 自転車でトラックと正面衝突して即死だったらしい。 そりゃ当たり前で、自転車じゃあトラックと相撲したって勝てるはずがない。ましてや非力な小学生の身では。 そんなこと人だって知っていたはずだけど、その日はどういうわけかそれを実験したいと思ってしまったんだろう。知らないけど。 三日後にクラスみんなでお葬式に行った。 お棺の蓋はずっと閉められていたから、顔は見られなかった。 「みんな、小早川君のことを忘れないでいてあげようね」 担任の内田先生は涙ぐんでそんなことを言った。 言われなくたって、みんなだって小早川のことを忘れてやろうなんて思っていない。 特別いい奴でもなかったけど、悪い奴でもなかった。 夏休みのプールサイドでいきなり水着を下ろされた恨みはまだ忘れていないが、宿題をやり忘れた時に写させてもらった恩だってある。 クラスメイトとしてお互い楽しく過ご

    拡張学級 - 回転図誌
  • 拡張家族 - 回転図誌

    やはり、携帯電話に何かあるような気がした。 なぜだか気になって仕方がなかった。 私の物ではない。死んだ知人の持ち物である。 順を追って話そう。 高校の同級生だった浦辺が死んだ、という報せが警察から来た。 なぜ私に、と聞くと浦辺には連絡のつく親類がいないためだという返事だった。 遺品の中から私の連絡先が見つかったらしい。 私にしても浦辺に会ったのはもう三年くらい前が最後なので些か面らう。 その時にも彼は一人暮らしをしていたようだが、最期まで孤独だったということなのだろうか。 もう少し連絡を取っておけばよかったな、と今更ながら後悔しつつ、詳しい話を聞きに警察署へ行くことになった。 出向いた私を迎えたのは初老の穏やかな刑事だった。 「浦辺さんは自宅で発見されましてね。新聞が新聞受けに溜まっていることに疑問を持った管理人が通報してきました。この猛暑ですが、ずっとエアコンが動いていたようで……そこ

    拡張家族 - 回転図誌
  • 千の風になるためには風葬に限る百六日目 - 回転図誌

    盆に帰省した私を、兄が車で迎えに来た。その隣に兄嫁の姿を見つけて、思わず身を硬くする。 正直、兄嫁は苦手だった。 彼女は私の高校時代の二年上の先輩で、同じ部活に所属していた。華やかな容貌ではないけれど、柔らかい雰囲気の女性だった。 入部当初から、彼女はあれこれ世話を焼いてくれた。それは私だけのことではなくて、他の部員皆に対してそうだった。要するに、世話好きな女性だったのだ。 他の部員達からは随分信頼されていたが、私はそうではなかった。こちらの気持には頓着せず、ずかずかと他人の領域に踏み込んでくる。誰にも言わなかったが、そんな所が苦手だった。 彼女が傍にいると、何となく落ち着かない気分になった。居心地が悪いという訳ではないが、据わりの悪い心地がしてならなかった。 何でそこまで彼女に反応してしまうのか――それすらよく判らなかった。 だから、一年経って先輩が卒業した時には、密かに安心したことを良

    千の風になるためには風葬に限る百六日目 - 回転図誌
  • さらば昭和のドリルよ - 無免許タクシー

    子供の頃にやらされた漢字をやたら書く帳面とかやたら数式を解く帳面、あれって『ドリル』って呼ばれたはずなんだ。漢字ドリルとか算数(計算)ドリルとかそういう名前だったはず。でも、今はあの帳面のことを『スキル』って呼ぶのをついこのまえ知った。なんてしゃらくさい名前だ。 戦争末期、主要都市が壊滅状態となった後、降伏の宣言が出ない場合は国民皆殺しもありうると、山間の村でも爆撃から逃れるために地下防空壕を拵えた。住民の大半が農民であったため土を掘る能力に長けており、必要以上に掘削は進んで広大な地下街の様相を呈していた。機影を察知するたびにサイレンが鳴らされ、日に何度も防空壕を出たり入ったりしているうちに面倒臭がりな村人はそのまま地上へは出てこなくなった。そうして地上の人影が少なくなってくると、おれもわたしもと村人のほとんどが地下へ潜るようになっていった。闇に慣れない者たちは怯えて暮らしていたが、しばら

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  • 君は女湯を見たか - ダイナミック大熊

    あなたは女湯を信じますか? 怪談のとき枕につく言葉に、「友達友達が」「先輩が」「テレビで○○が言ってたんだけど」などなどありますが、大概が出所の不明瞭な伝聞です。では、女湯を見たことがある人の話を聞いたことがありますか? よく修学旅行の武勇伝として語られることのある覗きですが、やはりこれも話として聞いたことがあっても、今これを読んでいる人の中に覗いたことがあるという人はいらっしゃらないのではないでしょうか? 温泉盗撮モノのアダルトビデオを見たことがあるという人がいらっしゃるかもしれません。しかしそれも行ってみればテレビの心霊番組のようなもの。画面を通してしか見ることのできないフィクションの世界のように思えます。それでは女湯はこの世に存在しないのでしょうか。いや、実は僕、見てしまったんです、女湯を! あれは数年前、近所のスーパー銭湯にサウナに入りに行ったときのこと。いつも僕は体を洗ってサウ

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