*1 *2 様式(スタイル)についてのお話でした。 舞台は16世紀末のトルコ。細密画師が殺された事件をきっかけに、その犯人さがしが物語の核となって登場人物たちの(「藪の中」みたいな)一人称の語り*3が積み重ねられていく。いくんだけど、ちりばめられる細密画についてのたくさんの教訓*4や、細密画に描かれ続けてきた有名な場面とそれに纏わるエピソードたち、細密画師の嫉妬や喜び、噺し家の語り、そして恋愛の要素がそこに絡んできて、それぞれがとても大事なはたらきをする。 すくなくともイスラームやその文化に興味のある人は読んで絶対に損はしないと断言できます。とにかく、ムスリムとして生きる登場人物達の考えることや、細密画の描写、古い細密画師たちのエピソード、噺し家の語りなどはそういう点から見てもすばらしい。はじめはタルいなんて思うかもしれませんが、今まで知らなかった世界がぐんぐんひろがっていくのを感じられま