タグ

ブックマーク / randamhexa.blog.fc2.com (8)

  • 世界の終わりに敦盛を舞う - Junk

    一時間あまりの通勤時間の間に、運が良ければ三人か四人ぐらいは敦盛を舞っているサラリーマンを見かけることができる。 とは言っても、扇をかざして小鼓の伴奏に合わせ足拍子を踏み鳴らしているような人は、さすがにあまりいない。そのような格派を見かけるのは、俺にしても十数年の社会人生活の中で二、三度ぐらいしかない。 たいていの人は、ごくささやかに敦盛を舞っている。 それは電車の吊り革につかまる手の微細な動きであったり、イヤホンで流行の音楽を聴くふりをしながらゆるやかに揺らす身体のリズムであったり、独り言に見せかけてそっと朗じられる詞章の一節であったりする。 そうやって誰しもが思い思いのやり方で敦盛を舞っている。 よくよく観察してみれば、毎日けっこうな数の男たちが個人的な範疇で敦盛を舞っていることに気づくはずだ。 通勤電車の中で舞う以外にも、起床とともに舞う者や、就寝前にひとさし舞う者もいる。 家族が

  • 「てるみな」を読んで - Comic

    あのV林田卿(てるみなおじさん)が鉄道コラムを寄稿しているというkashmir先生の「てるみな」を読みました。 粘土ゲーム「バルバロッサ」においてパンタグラフ(電車の屋根についてるアレ)を作成して皆の顰蹙をかったV林田卿が寄稿しているというので、表紙だけ見て「ははーん耳少女が無闇にマニアックな鉄道の列車に乗って旅情をかもし出す漫画だな?」などと安易な予想をして読んでいましたが、そんな浅はかさを吹っ飛ばすほどの衝撃を受けたので紹介したいです。 第一話のタイトルは「特急 高尾山 行き」 主人公の少女ミナに突然耳が生えてしまい、お払いのため天狗の住む山・高尾山に赴く……という流れから話は始まります。 おっ、高尾山はちょうど少し前に行って登って来たなーなどと思って頁をめくっていると「……あれっ?」と首をひねること数回。なんかこれ、俺が知ってる高尾山じゃないような……。 完全なフィクションかとい

  • 映画「けいおん!」を視聴して - Anime

    劇場版「けいおん!」を視聴してきた。 新宿、ピカデリー。 封切りからしばらく経ってはいたが、相当な人の入りであった。 さすがは「けいおん!」である。いつまでも沈まぬ太陽の如く、すさまじい人気ぶりとしか言いようがない。 開場時間になった。 アナウンスに従い、俺は予約していた座席につく。 わくわくしてきた。 今回の劇場版、どのような話なのかはまったくわからない。なにやらイギリスへ行くらしいだとか、かつひょんなことからIRAに入ってゲリラ活動に従事するらしいだとか、いやいやヘリフォードでSASの入隊試験を受ける(そして冬山を登る最終試験で、民家の老夫婦にスープを飲ませてもらう)のだとか、さまざまな流言が飛び交っており、そこから真実を見極めるのは難しいと思われた。 だが、それももはや、どうでもいい話だ。 唯、澪、律、紬、梓。 これから、また彼女たちに会えるのだ。 己の精神が果てしなく高揚するのを感

  • 正月にエヴァ破を観る - Diary

    あけましておめでとうございます。 冬コミで出した新刊「PLAN B」通販始まりました。 興味ありましたらよろしく。 正月は、まあ例によって特に書き記すような出来事もなかったのだが、あえて挙げるならヒライが来てぐだぐだしていったことぐらい。 ヒライは持参した焼酎("ナポレオン"などと書かれている安い感じの酒)をひたすら飲んでいた。 俺がゲームやったりする横で、黙ってコップに酒とサイダーを混ぜて注ぎ、飲んでいた。 というか、飲み過ぎていた。 どれぐらい飲み過ぎていたかというと、 「ひとつ、気づいたことがある」 いきなりヒライが深刻そうに語り出し、なんだよ、と俺が面倒くさげに問うと、彼は腹立たしいまでのドヤ顔で、 「ぼくは……飲み過ぎてる」 などと自ら高らかに宣言するほどに飲み過ぎていた。 その後、しきりに 「少なくとも600ミリリットルは飲んでる」 「いや、700ミリリットルぐらいかもしれん」

  • 食べ物の力について - Anime

    最近はよく再放送のアニメ「美味しんぼ」を観ている。 富井副部長のウザさとか、快楽亭ブラックのインチキ臭いしゃべりとか、おめかしした栗田さん(頭にバカでかいリボンをつけていた)など見所は尽きないのだが、まあとにかくどの話にも共通するのは「美味いべ物があらゆる揉め事を解決する」ということだ。 世の中の揉め事はすべて不味いべ物が発端であり、それを解決するのは美味いべ物。 「美味しんぼ」の物語は、多かれ少なかれそういう原理が貫かれている。 家庭の不和もい物のせいだし、子供がグレるのも、スポーツ選手の不調も、会社間のトラブルもい物のせいだ。 そして美味しいべ物はすべてを解決する。 ふと漫画「孤独のグルメ」における、あるシーンを思い出す。 主人公のゴローが、定屋に入ってメシをべるが、その眼前で店主が店員(中国人)に怒鳴り散らしている。 ゴローは店主に向かって「あなたのおかげでメシが美味

    murashit
    murashit 2010/10/07
  • はなまる幼稚園 - Anime

    骨の浮き出た上半身を可動式ベッドにもたれかけさせ、正岡は薄型テレビに見入っている。 田崎が病室に入っても、その眼差しは凝として液晶ディスプレイに注がれたままであった。 「また『はなまる幼稚園』ですかい、叔父貴」 声をかけ根際に添う田崎を一顧だにしない正岡。その年輪を重ねた枯れ木の風情とは対照的な、荒々しい木彫り細工のような面貌をこころもち伏せた田崎は、ただ黙して待つ。 先月よりも少し痩せたか――と田崎は思う。 カリエスを患い二年ほども寝たきりになれば、かつて誠和の牛鬼と呼ばれた男がこうまで枯れ、細くなるものか――田崎は己の胸に生じた鉛の味をしばし噛み締める。 やがてテレビに写っていたアニメ――『はなまる幼稚園』の七話『はなまるな夏休み』――が終わり、正岡が深く、長い息をつく。 そして正岡の目玉が別の生き物のように蠢き、田崎を見据える。 「おう、おどれ……おったんかい」 「へえ」 田崎は頭を

  • マグネタイトが尽きるまで - randamHEXA

    悪魔召喚プログラムが手に入ったらなにをするか? というのはかなり昔から議論されてきたテーマではあるが、今、俺がそれを手にしたならば、まずは定石どおり妖精ピクシーを仲魔にするであろう。 というか、どう頑張ってもピクシーあたりの同情を引いて仲魔になってもらうのが関の山であろう。 そうして夜な夜な、日々の仕事で疲れた身体を癒すべくディアを唱えさせるのだ。 彼女のMPが続くかぎり。 回復魔法の心地よさに包まれながら、昔……小学生の頃、俺のクラスにはロウヒーローとカオスヒーローがいたことを思い出す。 キヨシくんという、成績が劣悪で運動が苦手な男子がいた。 しかし彼はクラスでただ一人「AKIRA」に傾倒しており、ファミコン版AKIRAを俺に貸してくれたりした。難解で誰も遊ばなかった光栄の歴史ゲームを持っていたりもした。 公営団地の一室にある彼の薄暗い部屋は、怪しいコミックやゲームで溢れ返っており、俺は

  • けいおん!1巻(ブルーレイ) - randamHEXA

    最近、生きているのがつらい。 だからアニメ「けいおん! 1巻(ブルーレイ)」を買った。 正直、安い買い物ではない。 でもいいんだ。 彼女たちの放課後の生き様を無駄なほどの高画質で堪能できるのであれば、そこに後悔はない。 後悔はないが、それでもどこかで納得できていない己の惰弱さをねじ伏せるため、このブルーレイのすばらしさについて書いていきたい。 まず、ブルーレイなのにパッケージが赤い……というかピンク色である。 なんという反骨精神。 既成観念にとらわれないその心意気、まさにロック。 彼女たちは紛れもないロッカーであろう。 パッケージを覆っている薄いフィルムをおそるおそるやぶるとき、おそらく唯が着用している黒ストッキングを指でやぶるとしたらこれに似たような感触なのではないか、という考えが唐突に浮かぶ。 ストッキングほどの伸縮性はないそのフィルム越しに、唯のふくらはぎのあたりとおぼしき体温と柔ら

  • 1