原発再稼働に向けた原子力規制委員会の審査に対応するための電力会社の業務について、厚生労働省が「公益上の必要により集中的な作業が必要」として、労働基準法で定めた残業時間制限の大部分を適用しないとする通達を出していたことが8日、分かった。従来、公益性を理由にした適用除外はごく一部でしか認められていなかった。専門家は「再稼働対応は営利目的で公益性や緊急性があるとは言えない」と指摘。「政府が『働き方改革』を進める中で、厚労省の見識が問われる」と疑問視している。
政府は12日、原子力規制委員会が運営主体の変更を求めている日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県)を廃炉にする方向で最終調整に入った。再稼働には数千億円の追加費用が必要となり、国民の理解が得られないとの判断に傾いた。核燃料サイクル政策の枠組みの見直しは必至で、関係省庁で対応を急ぐ。 所管の文部科学省は、規制委から運営主体の変更勧告を受け、原子力機構からもんじゅ関連部門を分離し、新法人を設置して存続させる案を今月に入り、内閣官房に伝えた。しかし、電力会社やプラントメーカーは協力に難色を示しており、新たな受け皿の設立は困難な情勢。
日本国憲法の成立過程で、戦争の放棄をうたった九条は、幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)首相(当時、以下同じ)が連合国軍総司令部(GHQ)側に提案したという学説を補強する新たな史料を堀尾輝久・東大名誉教授が見つけた。史料が事実なら、一部の改憲勢力が主張する「今の憲法は戦勝国の押しつけ」との根拠は弱まる。今秋から各党による憲法論議が始まった場合、制定過程が議論される可能性がある。 (安藤美由紀、北條香子) 九条は、一九四六年一月二十四日に幣原首相とマッカーサーGHQ最高司令官が会談した結果生まれたとされるが、どちらが提案したかは両説がある。マッカーサーは米上院などで幣原首相の発案と証言しているが、「信用できない」とする識者もいる。 堀尾氏は五七年に岸内閣の下で議論が始まった憲法調査会の高柳賢三会長が、憲法の成立過程を調査するため五八年に渡米し、マッカーサーと書簡を交わした事実に着目。高柳は
日本国憲法の成立過程で、戦争の放棄をうたった九条は、幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)首相(当時、以下同じ)が連合国軍総司令部(GHQ)側に提案したという学説を補強する新たな史料を堀尾輝久・東大名誉教授が見つけた。史料が事実なら、一部の改憲勢力が主張する「今の憲法は戦勝国の押しつけ」との根拠は弱まる。今秋から各党による憲法論議が始まった場合、制定過程が議論される可能性がある。 (安藤美由紀、北條香子) 九条は、一九四六年一月二十四日に幣原首相とマッカーサーGHQ最高司令官が会談した結果生まれたとされるが、どちらが提案したかは両説がある。マッカーサーは米上院などで幣原首相の発案と証言しているが、「信用できない」とする識者もいる。 堀尾氏は五七年に岸内閣の下で議論が始まった憲法調査会の高柳賢三会長が、憲法の成立過程を調査するため五八年に渡米し、マッカーサーと書簡を交わした事実に着目。高柳は「『
東京都議会(定数一二七)は十日、都議が調査研究のため二〇一五年度に支出した政務活動費(政活費)の使途を公開した。自民党都議九人は、本人や家族らが所有するマンションなどを都議会自民党に借り上げてもらう形にして、政活費から賃料として月二万五千~二十万円を受け取っていた。都議会の自主ルールでは、資産形成につながる恐れがあるとして、都議の自己所有物件の賃料に政活費を充てられないが、会派を介在させて規制を逃れる「抜け道」にしていた。 舛添要一前都知事の政治資金流用問題では、舛添氏の自宅と同じ住所にある事務所の「賃借料」が、政党交付金を受けた政治団体からファミリー企業に支払われていたことが批判された。ただ、都議会が舛添氏を追及した際、自民でこの事務所費に言及した都議はいなかった。
電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)は22日、共同通信のインタビューに応じ、2030年度の電源構成に占める原発比率を20~22%とする政府方針を達成するため「発電所の新増設や建て替えが必要だ」と語り、建設計画の前進に向け原発に対する信頼の回復に努めると強調した。 原発の新増設を巡っては、政府は東京電力福島第1原発事故後、明確な方向性を示しておらず、難しい状況が続いている。勝野会長は「今後、おのずと具体的な施策が出てくるだろう」と、議論の活発化に期待感をにじませた。
内閣府が八日発表した六月の景気ウオッチャー調査は、街角の景況感を示す現状判断指数(DI)が前月比一・八ポイント悪化の四一・二となり、安倍政権による経済政策・アベノミクス前の二〇一二年十一月(四〇・〇)以来の水準に低下した。アベノミクスが始まってから三年半。株価などは改善している一方で、家計の状況を示す指標の多くは「アベノミクス前」に逆戻りしている。 (白山泉) 同調査は小売りや外食など景気に敏感な業種の関係者、約二千人に景況を聞いている。指数悪化は三カ月連続。賃金が伸びない中で円高株安による不安が、小売りや宿泊業の景況感を冷え込ませた。基調判断は「弱さがみられる」と四カ月連続で据え置いた。
「憲法の危機との認識を持って、投票を」と呼び掛ける憲法学者たち=1日、東京・永田町の衆院第2議員会館で 十日に投開票される参院選で憲法の議論が高まっていないとして、憲法学者有志のグループが一日、東京都内で記者会見し、「争点隠しをせず、明確に憲法問題を争点とするべきだ」との声明を発表した。 名古屋学院大の飯島滋明教授ら八人のグループで、声明では「最近の選挙では国政の重要問題が争点とされず、むしろ選挙への悪影響を考慮して争点化を避ける傾向がみられる」と指摘。二〇一三年参院選と一四年衆院選では、自公政権がアベノミクスを最大の争点としながら、選挙後は特定秘密保護法制定や集団的自衛権の行使容認などに率先して取り組んだとした。
安倍晋三首相は十九日、インターネット動画中継サイト「ニコニコ動画」の党首討論会で、改憲について「参院選の結果を受け、どの条文を変えていくか、条文の中身をどのように変えていくかについて、議論を進めていきたい。次の国会から憲法審査会を動かしていきたい。自民党の総裁としてぜひ動かしたい」と秋の臨時国会から、衆参両院に設置されている憲法審査会で、具体的な改憲項目の議論を与野党で進めたい考えを示した。 (関口克己、横山大輔) 首相は在任中の改憲に意欲を示している。首相の自民党総裁としての任期が切れる二〇一八年九月までに改憲の国民投票を終えるためには、来年秋の臨時国会で原案を審議し、発議する必要がある。そのためには、今年後半から国会で議論を始め、来年前半の通常国会までに原案をまとめる必要がある。 参院選で与党が改憲の争点化を避けていると野党側が批判したのに対し、首相は「(改憲は)自民党結党の精神。
企業が余らせた利益に当たる「内部留保」が過去最高になったことが明らかになった。財務省が一日発表した一~三月期の法人企業統計(金融・保険業を除く)によると、内部留保を指す「利益剰余金」は三月末時点で前年同期比6%増の三百六十六兆円。一方で、従業員の給与は横ばいのままで、企業のもうけを働く人たちの賃金の増加と個人消費の増加につなげようとした政府のシナリオは実現していない。 (吉田通夫) 内部留保は正式な会計用語ではないが、一般的には、企業の売り上げから従業員への給料や、株主への配当を終えて残った「利益剰余金」の蓄積のことを指す。 内部留保は安倍晋三政権の発足以降、急増しており、二〇一二年十二月に比べると、34%増えている。日銀による大規模な金融緩和で円安が進み、企業が海外で稼いだ売上高や利益が円に換算すると大幅に増加。その一方で、国内での設備投資や従業員に支払う給与は抑制しているためだ。今年一
衆院厚生労働委員会で十日に行われた障害者の自立を後押しする目的の障害者総合支援法改正案を巡る参考人質疑で、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の出席が拒否された問題で十一日、与野党に対する批判が広がった。障害者に対する差別を禁止した障害者差別解消法が四月に施行されたばかり。法律を成立させた国会が、法の理念を踏みにじったとの思いからだ。国会では与野党が責任を押しつけ合った。 (我那覇圭) NPO法人「日本障害者協議会」の藤井克徳代表は十一日、「当事者抜きで当事者のことを決めるべきではない。差別解消法を成立させ、模範を示すべき国会に法の理念が浸透していないことが残念だ。差別的な対応だと感じている。経緯を検証して再発を防がなければ、せっかくの法の価値も下がってしまう」と指摘した。法律の成立を政府に働き掛けた障害者団体からも批判の声が上がる。 藤井さんは十一日、衆院厚生労働委員会を傍聴。障害者総
膨らむ介護給付費を抑えるため、介護の必要度が比較的低い「要介護1、2」の人を対象にした生活援助サービスの見直しが、厚生労働省社会保障審議会で議論されている。ヘルパーによる掃除や洗濯などを介護保険の対象から外す内容で、高齢者が援助を受けて自宅で暮らすことが難しくなったり、介護離職せざるを得ない家族が増えたりする恐れもある。 (出口有紀) 見直しの対象は、自宅の掃除や食事の準備などの生活援助。着替えや食事、トイレ、入浴などの身体介護は対象外だ。二月から同審議会の部会で議論され、厚労省は二〇一八年度からの制度改正を目指す。 改正の背景にあるのは、介護保険料の高騰。二五年度には全国平均で月額八千百六十五円になると予測されており、厚労省振興課担当者は「要介護の認定率が高まる七十五歳以上の人口は今後十年で五百万人ほど増える見込みで、給付の範囲をしっかり議論する必要がある」と説明する。どの程度の削減効果
環太平洋連携協定(TPP)の交渉を巡り、政府が関係国との閣僚間協議の議事録を公文書として作成していないと説明していることに対し、専門家から「法律に違反し、公文書の適正な作成や管理を怠っている」との指摘が出ている。政府が内部文書を「公文書ではない」と言い張れば、情報公開の対象外にできることになりかねないからだ。 (中根政人) TPPの承認案と関連法案の国会審議では、民進党が甘利明前TPP担当相とフロマン米通商代表の交渉の内容を文書として公開するよう政府に求めた。これに対し、政府側は三月末、会談内容は一部の幹部職員のみで情報を共有し、公文書に当たる議事録は作成していないと回答した。 一方、政府は交渉の前後に論点を整理した文書は存在すると認めた。四月五日に衆院TPP特別委員会に論点整理の文書を提示したが、表題と日付を除き黒塗りだった。政府側は論点整理の文書は公文書に該当するとしつつ、黒塗りの理由
【ワシントン=金杉貴雄】安倍晋三首相は一日午前(日本時間二日未明)、核物質や核施設の防護・管理強化を話し合う「核安全保障サミット」で演説し、東京電力福島第一原発の事故を踏まえ「日本は二度とあのような事故を起こさないとの決意の下、原子力の平和的利用を再びリードすべく歩み始めた」と原発の再稼働推進を宣言した。事故から五年を経ても収束の道筋が見えない福島第一原発の現状には言及しなかった。 首相は演説で「事故の教訓を原発を導入するすべての国と共有し、安全性や事故対策についての知見を世界に広げることが日本の使命だ」と強調。各国への支援、安全基準に関する国際協力などを積極的に行っていく考えを表明した。 福島第一原発では、現在も放射能汚染水の対策に追われる。福島県では十万人近くが避難生活を送り、放射性物質を含む汚染土を処分するめどもついていない。東電や国から十分な賠償が得られていないとして集団訴訟
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