時々、私の工房にはじめていらっしゃるお客様で、「先生から『弦に圧力をかけたら音の響きを殺してしまう』と指摘される」と言われる方がいます。実際に、弦の表面をそっと撫でるような演奏をしている方をとても多く見受けます。 しかし、そんな演奏は全くの見当外れですし、そのような「弦に圧力をかけたら音の響きを殺してしまう」という考え方も物理的にナンセンスです。 なぜ「弦に圧力をかけたら音の響きを殺してしまう」という考え方が間違っているのかを考えるためには、次の2つの事柄を考えてみればよいのです。 1.弦の響きを殺さない演奏があったとしたら、その演奏に圧力はかかっていないのか? 弦に一切触れずに念力で弦を振動させることができるという人がいれば話は別ですが、もちろん、圧力なしに演奏は不可能です。そしてさらに、「この大きさまでの圧力なら響きを殺さず、これ以上の圧力なら響きを殺してしまう」という明確な数値の境界