「だめよタカシ、そんなに大きな絵を描いたら」 画用紙にクレヨンで絵を描こうとしていたタカシを見つけ、母親が鋭い声で釘を刺す。タカシは小さくため息をつくと、クレヨンを机に置いた。 大きいといっても、ほんの10センチ四方の絵だ。しかし母親は、少しでもセーブしてもらいたいらしい。というのも、クレヨンには超小型のセンサーが組み込まれていて、使用量が計算され「使った分だけ」自動請求されるからだ。しかも少額決済テクノロジーが進化したおかげで、支払いもその場で、リアルタイムで行われる。いま書いた分で、12円といったところだろうか。 2015年ごろだろうか、IoTテクノロジーが一気に高度化を始め、数年のうちにあらゆるものに通信機能が組み込まれるようになった。IoT(Internet of Things)ならぬIoE(Internet of Everything)だなどと喧伝する企業もあったが、まさにその通