10月5日、日本中を沸かせる朗報が飛び込んできた。大村智・北里大学特別栄誉教授に、ノーベル生理学・医学賞が授与されることが決まったのだ。熱帯にはびこる寄生虫に対する薬剤「イベルメクチン」の開発を評価されてのものであった。 医薬品の開発に対してノーベル賞が贈られたのは1988年以来27年ぶりであり、その前は1957年まで遡らねばならない。この間、多くの優れた医薬品が世に送り出され、数知れぬ命を救ったにもかかわらず、賞の選考委員会はなぜかこの分野に冷淡であった。それがなぜこのタイミングで、なぜ抗寄生虫薬という分野に対して、最高の栄誉が与えられたのだろうか? 元大手製薬メーカーの創薬研究者だったサイエンスライター佐藤健太郎氏が、寄生虫薬の歴史を振り返りつつ、その裏事情を解説する。 なぜ医薬品開発者の受賞者が少ないのか? ノーベル委員会は、医薬品開発者への授賞に消極的だといわれる。 これには、いろ
![ノーベル賞受賞 ゼロから学ぶ、大村智教授が開発した「薬」のすごさ(佐藤 健太郎)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b8c870f87aa86cc7615db40d160000cab4ebf8ff/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fcommon%2Fgendai-shinsho%2Fimages%2Fmeta%2Fgs-ogp-image.png)