長い年月と多額の費用が必要な医薬品開発に、人工知能(AI)技術を応用することで、効率化を目指す動きが広がっています。医薬品の候補となりそうな化合物を探したり、安全性を予測したりする際にAIの力を借ります。自然言語処理AIで医学論文を読み込んで候補物質を探すといった、新しいアプローチも始まっています。ドイツの医薬・化学大手メルクの創薬責任者によると、同社は「低分子医薬品」と呼ばれる化学合成で作る
避雷器メーカーの音羽電機工業(兵庫県尼崎市)が、北陸先端科学技術大学院大学(石川県、JAIST)などと共同で、2010年にノーベル物理学賞を受賞した炭素の新素材「グラフェン」を活用して、超小型の雷センサーの開発を進めている。従来の製品に比べて、設置コストや電力使用量を低減し、広域の高精度な落雷予測を実現できそうという。 雷は雲の中で氷の粒がぶつかり、静電気が蓄えられることで発生する。地球の周囲は電気で覆われており、地上は晴天時でも100ボルト程度の電気を帯びているが、雷雲が近づくと千ボルト以上に増加したり、電気の極性が変わったりする。雷センサーは、大気中の電気の変化を検知して接近を予測する。 グラフェンは1層の炭素原子でできた素材で、料理用ラップの300分の1ほどと極端に薄い。導電性が高く、海外では静電気センサー用に研究が進む。同社などは素材の特徴を生かし、大気中の電気の検出にも生かせない
松野博一官房長官は26日午後の会見で、山口県と島根県の沖合でINPEXが試掘を始める天然ガスについて、生産が本格化すれば、日本の天然ガス自給率は2.2%から3.4%に上昇すると説明した。写真は記者会見、2021年10月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) [東京 26日 ロイター] - 松野博一官房長官は26日午後の会見で、山口県と島根県の沖合でINPEXが試掘を始める天然ガスについて、生産が本格化すれば、日本の天然ガス自給率は2.2%から3.4%に上昇すると説明した。 このため試掘段階で、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が特例として75%の出資を行うとした。松野官房長官によると、国内での天然ガス生産案件は20年ぶりで、生産規模も国内では過去最大になる。
新潟大学の佐々木進准教授らは、未知の原理の銅酸化物超電導体を開発した。物質としては電気抵抗がゼロの超電導になるが、銅酸化物は絶縁体になる。これまで銅酸化物の平面構造が超電導の源と理解されてきた。定説に当たらない超電導物質になる。 2種類のプラセオジム・バリウム銅酸化物の積層構造を作製した。この物質は平面状に並んだ酸化銅がバリウム、銅酸化物、プラセオジム、銅酸化物、バリウム、銅酸化物の順で積み重なっている。マイナス255度Cで超電導になる。 各層の銅原子の状態を調べるために超高感度核磁気共鳴(NMR)装置を開発した。室温と超電導で計測すると、バリウムとプラセオジムに挟まれた銅原子の応答周波数が高くなっていた。この応答から銅原子は絶縁体となっていると判断できた。他の高温超電導物質は応答周波数はほぼ変化しない。 これまで銅酸化物の平面構造が超電導の源と考えられてきたが、平面構造自体が電気を流さな
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 スペインのデウスト大学とスペインのOsakidetza Cruces University Hospitalの研究チームが開発した「UroSound: A Smartwatch-based Platform to Perform Non-Intrusive Sound-based Uroflowmetry」は、患者が自宅で音による尿流量測定を行うための非侵襲プラットフォームだ。 排せつ物が便器内にたまる水に衝突する際に発生する音をスマートウォッチの内臓マイクで記録することで、尿流量測定を行う。排尿量や排尿時間、中断回数など、日夜問わず家や外出先で24時間の計測を可能とし、排尿障害(下部尿路
東京工業大学と日産自動車らの研究グループが、人工光合成用光触媒の効率化に寄与する高性能なフォトン・アップコンバージョン(UC)の固体材料を開発したと発表。高効率かつ超低閾値でありながら空気中で安定という前例のない固体UC材料であり、次世代の脱炭素技術として期待される人工光合成の効率化に貢献できるという。 東京工業大学は2022年1月11日、日産自動車、出光興産と共同で、人工光合成用光触媒の効率化に寄与する高性能なフォトン・アップコンバージョン(UC)の固体材料を開発したと発表した。高効率かつ超低閾値でありながら空気中で安定という前例のない固体UC材料であり、次世代の脱炭素技術として期待される人工光合成の効率化に貢献んできるという。 人工光合成は太陽光と水とCO2を用い、酸素と水素、有機物などの貯蔵可能なエネルギーを人工的に生成できる技術として盛んな研究が行われている。しかし、実用化に向けた
企業の新規事業開発を支援するRelicの知見を基に「新規事業における不確実性との向き合い方」について解説する本連載。第1回(2つのプロトタイピングで「正しく」「早く」失敗する)は、新規事業で発生する「不確実性」にはどんなものがあるのか、その不確実性を減少させるために「プロトタイピング」がなぜ有効なのかといった内容について説明しました。第2回は「プロダクトプロトタイピング」の進め方について解説します。 プロトタイピングの進め方 プロトタイピングにはさまざまな種類があります。その中でもプロダクトプロトタイピングは文字通りプロダクト開発で有効なプロトタイピングです。これを使うことで、機能やデザインなどプロダクトの“あるべき姿”を明確にできます。基本的な進め方は以下の4つのステップになります。 プロダクトにおける問いと仮説を書き出し、一覧化する(仮説定義) 仮説を重要度で分類し、「検証すべき仮説」
九州大学大学院の楊井伸浩准教授、宇治雅記大学院生らは、光触媒による水素燃料製造や環境浄化の効率化に向け、重金属を用いずに可視光を紫外光に高効率で変換する分子性材料を開発した。従来は約8・2%だった変換効率を20・3%まで高めた。低コストで環境にも配慮した太陽光水素製造システムなどに応用できる。 強い可視光吸収を示し、異なる量子状態の間で起こる項間交差の効率が高いケトクマリン誘導体に着目。これとエネルギーを効率的に受け取り紫外域で発光するアクセプター分子を組み合わせた。 これにより変換に必要な励起光強度を1平方センチメートル当たり数十ミリワットまで下げられ、太陽光と同等の弱い強度で可視光を紫外光へ変換できた。従来は太陽光より1000倍程度強い可視光が必要だった。 「三重項―三重項消滅(TTA)」と呼ばれる、二つの励起三重項状態の分子が衝突してエネルギーが他方に移り、より高い励起状態となる過程
サムスン電子が人の脳に似せた次世代半導体技術の実現に向けた最後のパズルをはめるのに成功した。 サムスン電子は13日、磁気抵抗メモリー(MRAM)基盤の「インメモリーコンピューティング」を世界で初めて実現し、研究結果を学術誌ネイチャーに掲載したと明らかにした。インメモリーコンピューティングはメモリー内でデータの保存だけでなく演算まで行う最先端チップ技術だ。既存の技術より電力消費が顕著に低く次世代低電力人工知能(AI)チップを作る技術として注目されている。 サムスン電子関係者は「今回の研究はシステム半導体工程と組み合わせて大量生産が可能な非揮発性メモリーであるMRAMを世界で初めてインメモリーコンピューティングで実現し、次世代低電力AIチップ技術の地平を拡張したということに大きな意味がある」と明らかにした。 これまで抵抗メモリー(RRAM)、相変化メモリー(PRAM)素子を活用したインメモリー
(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官) 防衛省がレールガン開発を本格化させます。2022年度より2026年まで研究試作を実施し、並行した試験を2028年まで続けて確認するとのことです。 新年早々にこの件を報じた新聞報道があり、夢の超兵器だと評価する者がいれば無駄遣いだと叩く者もいるなど賛否両論の議論が沸き起こりました。 このレールガン開発の主目的が極超音速ミサイル対処であることに加え、直後に北朝鮮が極超音速ミサイルの可能性がある物体を発射したことから、改めて注目が集まっています。 将来性のある技術なので、研究を行うこと自体には賛成です。しかし、対空兵器、特に対空砲に携わってきた筆者としては、計画されている開発がうまくいったとしても実用性の高い兵器となるのかについては疑問も抱いています。
防衛省が、電磁力で砲弾を高速発射する「レールガン」(電磁砲)の開発を来年度から本格化させる。先行していた米海軍は開発を中断し、日本が民間の大容量電源技術でリードしたい考えだ。高速で飛来する極超音速兵器の迎撃に道を開くため、ミサイル防衛の切り札として期待される。防衛省は来年度予算案に65億円を計上し、電源開発費も追加したうえで、5年後以降の試験運用を目指す。 レールガンは電磁力で砲弾を射出するため、爆薬で砲弾を飛ばすよりも高速で撃つことができ、連射も可能だ。ロシアや北朝鮮が開発を進める極超音速兵器は音速の5倍(マッハ5)以上とされるが、平成29年度から始めた防衛省の試作では秒速2千メートル(時速7200キロ、マッハ約5・8)の高速度を実現した。 米海軍の研究では200キロの長射程射撃が可能で、極超音速兵器を迎撃する上で有効性がある。さらに、他の迎撃手段よりも軽量かつ低価格で装備できる。 艦艇
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