「脱炭素ブーム」に踊らされる日本 いま世界で「脱炭素」「カーボンニュートラル」の機運が高まっている中にあって、世界の先進各国は生き残りをかけて巧みな脱炭素戦略を始めている。 一方、日本は「脱炭素」の掛け声に踊らされてばかりで、ビジョンの薄いお粗末な脱炭素戦略しか描けていない。このままでは、日本の産業全体が落ち込みかねない大問題に直面しかない。そんな危機感が一部の関係者のあいだで高まっている。 例えば、欧州連合の次のような発表に日本人の多くが踊らされたことからも、それは明白だろう。 「2035年にハイブリッド車を含むガソリン車の新車販売を禁止する」ーー。 7月14日、欧州連合(EU)の方針が発表されると、「内燃機関で世界一を取った日本の自動車はどうなるのだ」という不安が日本を駆けめぐった。 しかし、皆さんはご存知だろうか。欧州の石油消費は世界のわずか12%に過ぎないことを。 そして、世界の石
欧州委員会が電池産業の育成を明確にし、欧州各社が巨大な電池工場の建設計画を打ち出しています。官民一体で自動車の電動化に突き進む欧州の動向をどのように捉えるべきでしょうか。日経ビジネスは、専門家が解説する日経ビジネスLIVE(オンラインセミナー)「電気自動車で日本は勝てるのか~欧州の野望を読み解く」を9月15日(水)16:00~17:00に開催します(事前登録制、日経ビジネス電子版有料読者は受講料無料です)。詳細についてはこちらをご覧ください。今回は登壇するZFジャパン社長の多田直純氏のインタビューの一部をお届けします。 多田さんはドイツのボッシュや中国の寧徳時代新能源科技(CATL)でマネジメント経験があり、現在はZFジャパン社長として自動車サプライヤーに精通しています。今のEV市場の状況をどのように見ていますか。 ZFジャパン社長の多田直純氏(以下、多田氏):中国では、今年から来年にかけ
トヨタ自動車は2021年9月7日、オンラインで説明会を開き、電動車の普及に向けた投資などの戦略を発表した。 同社は2021年5月に従来の電動車販売の見通しを修正し、2030年にグローバルでHEV(ハイブリッド車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)、EV(電気自動車)の販売を合計800万台とした。このうち、EVとFCVが合計200万台と見込む。2017年の時点では2030年に電動車販売が合計550万台で、このうちEVとFCVが合わせて100万台としていた。 足元のトヨタ向けの電池の生産量は6GWhで、電動車の販売800万台を実現するには電池の供給を30倍に拡大する必要がある。これまでHEV向けに20年かけて拡大してきた生産体制を、今後10年で同じだけ拡大するハイペースが求められる。 この大幅な上方修正に伴い、2030年までに電池の開発と供給に対して1.5兆円を投資す
EV化が叫ばれても実態は… 現在自動車のEV化の話題が盛んである。とくにヨーロッパは急進的であり、2035年までにHVを含む内燃機関車の販売を禁止する方針を打ち出している。そのためには消費者に買ってもらわないといけないため、各国はさまざまなインセンティブをつけてプラグイン車(EVおよびPHEV:プラグインハイブリッド車)の販売を伸ばそうとしている。 その結果、ヨーロッパでは今年に入って販売の約16%がプラグイン車となっており、純粋なEV(以下BEV)だけで見ると7.6%となっている。ブランド別で見るとフォルクスワーゲン、BMW、メルセデスベンツがプラグイン車販売トップ3だが、BMWとメルセデスベンツは現状ではPHEVが多い。 資料① Are cars cleaner today? 資料② Plugin Vehicles Hit 19% Market Share In Europe In J
土田 陽介 [三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 副主任研究員] Aug. 11, 2021, 06:30 AM ビジネス 7,514 「小が大を食う」ということは洋の東西を問わず痛快なことだ。 欧州では電気自動車(EV)の分野でこうした現象が生じている。今年7月5日、小国クロアチアの新興EVメーカー、リマック・グループ(以下リマック)がドイツ最大の自動車メーカー、フォルクスワーゲン傘下のポルシェと合弁企業を設立すると発表した。 新会社の名前はブガッティ・リマック。株式の55%はリマックが、45%はポルシェが保有する。実質的に、リマックがポルシェからイタリア由来の名門ブランドであるブガッティを引き継いだ形だ。 今後、主力の高級車である「シロン」などブガッティ・ブランドの車両は、ブガッティ・リマックからリリースされることになる。 ブガッティは100年以上の歴史を持つ高級スポーツカー
ドイツの自動車部品大手コンチネンタルと電機大手シーメンスは7月29日、道路上で架線からトラックに給電する集電装置であるパンタグラフの開発・製造を協力して行うと発表した。それぞれ傘下のコンチネンタル・エンジニアリング・サービス(CES)とシーメンス・モビリティーが具体的な協力を進める。シーメンス・モビリティーが開発したEハイウエー技術は、交通量の多い高速道路区間に設置した架線から電気駆動(ハイブリッド、燃料電池、純電気)のトラックへの給電を可能とする。これによりトラックの二酸化炭素(CO2)排出量の大幅な削減を目指す。両社はパンタグラフの連続生産やEハイウエー技術の欧州全土への普及を目指す。 シーメンス・モビリティーのミハエル・ペーター最高経営責任者(CEO)は「気候変動との闘いで道路貨物輸送は中心的な役割を果たす」とし、「道路貨物輸送によるCO2排出量はドイツの交通輸送部門のCO2総排出量
この記事は、2021年7月19日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。 ※この記事は、「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」をお申し込みになると無料で閲覧できます。 「35年までにHVも禁止」のEU、自動車大国ドイツの反応は 2021年7月14日、EUの行政機関である欧州委員会が「Fit for 55」と名付けられた気候変動対策の計画において、「2035年までにハイブリッド(HV)やプラグインハイブリッド(PHEV)を含む内燃機関エンジン車の新車販売を事実上禁止する案」を発表したというニュースが、大きな話題となっています。カーボンニュートラル社会に向けた取り組みにおいて優等生なドイツですが、今回の内容に関しては賛同ばかりではなく、特に自動車業界に関わる組織などから、批判的
米国政府が4月23日、国連に提出した文書によれば、経済部門別に温室効果ガスの削減経路を検討した上で国全体の排出見通しをモデルを用いて計算。その結果と外部機関によるモデル分析結果を比較した上で、目標を定めたという。 米国政府は分析の詳細を提示していないが、各部門で追求する取り組みの例として、電力については35年までに全量炭素フリーとするための基準とインセンティブ、自動車については排出・燃費基準とゼロ排出車へのインセンティブ、建物についてはエネルギー効率化と電化、産業についてはCO2回収や水素へのインセンティブなどを挙げた。 電力で80%減、EV化の加速も しかし、この定性的な説明だけでは「50~52%削減」の意味をつかみにくいことから、定量的に考えてみる。 米国政府が国連に提出している最新の報告によれば、19年の温室効果ガス排出量は森林による吸収分を考慮した上で、05年比で13%減であった。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は14日の記者会見で、「交通部門のCO2排出量は減るどころか、増えている。これを逆転させなければならない」と述べ、自動車産業に厳しい姿勢をみせた(写真:Abaca/アフロ) 7月14日、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が、自動車業界を揺るがす規制を発表した。 2035年に発売できる新車は、排出ガスゼロ車のみとする規制を提案した。文面を解釈すれば、対象となるのは電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)のみ。ガソリン車やディーゼル車だけではなく、実質的にエンジンを搭載したハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の販売も禁じることになる。自動車メーカー関係者は「予想していたシナリオの最も厳しいものとなった」と話す。 同時に、30年の二酸化炭素(CO2)排出規制も見直した。従来は走行1km当たりのCO2排出量を21年比で37.5%削減
米電気自動車(EV)・大手テスラのショールームで流線型の新型車「モデル3」を購入したあなたは、地球のために少しでも良いことをしたとの満足感に包まれている。 だが、実感するのはまだ早い。あと1万3500マイル(2万1725キロ)走行しないと、ガソリンで走るセダンと比べて環境への負荷は小さくならないのだ。 これは、ロイターが自動車の耐用年数期間中に排出する二酸化炭素(CO2)量を計算するモデルから得られたデータをもとに分析した結果だ。 その計算モデルはアルゴンヌ・ナショナル・ラボラトリー(シカゴ)が開発し、EV電池に含まれる金属の種類から、自動車に使われるアルミニウムやプラスチックの量に至るまで、数千ものパラメーターが組み込まれている。 アルゴンヌは米エネルギー省が出資し、シカゴ大が運営している組織。 「技術における温室効果ガス・規制対象排出・エネルギー使用(GREET)」と呼ばれるこのモデル
ワイヤレス充電器などを手掛けるイタリアのスタートアップEggtronicが特許権を有するACワイヤレス給電技術「E2WATT」は、ホーム/自動車アプリケーションなどに向けたワイヤレス充電の電力効率を向上させることが可能だという。 ワイヤレス充電器などを手掛けるイタリアのスタートアップEggtronicが特許権を有するACワイヤレス給電技術「E2WATT」は、ホーム/自動車アプリケーションなどに向けたワイヤレス充電の電力効率を向上させることが可能だという。 2012年設立のEggtronicは、エネルギー変換やワイヤレス電力伝送を専業とする企業で、現在約200件の特許を保有する。主に、電磁誘導方式と電界結合方式のワイヤレス給電を採用したさまざまなコンシューマー機器の設計に注力している。同社がこれまでに調達した資金は、既に2000万米ドルを超えるという。 同社の創設者でありCEO(最高経営責任
物流大手の佐川急便が、自社の配達車両に電気で走る軽自動車を採用すると2021年4月13日に発表しました。 この小型EV(電気自動車)は2022年9月から納入が始まり、現在使用している軽自動車7200台を置き換える計画です。 今回、佐川急便が採用を決めた小型EVは現在軽自動車に乗務する佐川急便のドライバー約7200人にアンケートを実施し、ドライバーの意見を徹底的に反映させた独自の車両として開発される予定です。 企画や設計は日本のEVベンチャー、ASF株式会社(以下、ASF)が担い、生産は中国・広西に本拠地を置く広西汽車集団傘下の「柳州五菱汽車」がおこないます。 現在の報道で勘違いされている点として、今回佐川急便が採用を決めた小型EVは「中国車」ではなく、広西汽車集団が展開する既存の車両を輸入するわけでもありません。 設計などの開発面はあくまで日本企業であるASFが独自におこない、中国自動車メ
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