1.ウナギ人工種苗の実用化を目指して (1)ウナギ養殖と研究開発 土用の丑の日に鰻を食べる習慣については、平賀源内の発案という説が最もよく知られています。とある鰻屋が、夏に売れない鰻を何とか売るため源内に相談したところ「本日丑の日」と書いて店先に貼ることを勧められました。その鰻屋は大変繁盛したことから、他の鰻屋もそれにならい、土用の丑の日に鰻を食べるようになったと言われています。 我が国におけるウナギ養殖は、1879年(明治12年)に東京深川で始められました。1971年頃、配合飼料の開発やハウス加温式養殖の導入などの技術開発により生産性が飛躍的に向上し、現在では、年間2万トン程度の我が国におけるウナギ生産のうち、天然の漁獲量は2%程度に過ぎず、ほとんどが養殖によるものとなっています。また、国内で流通するウナギの8割は中国、台湾からの輸入品であり、それらはすべて養殖生産によるものです(図2