2011(平成23)年9月、横浜市内の4カ所の事業所で腸管毒素原性大腸菌O148(以下ETEC O148)による集団食中毒事例が相次いで発生した。この4事業所は異なる企業の社員食堂であったが、同一の給食事業者が運営する給食施設であった。この事業者が運営する給食施設を原因とする食中毒事例は他に山梨県、長野県、神奈川県、相模原市、東京都の各自治体においても相次いで発生し、患者数が数百名規模となる広域食中毒事例であった(本号9ページ参照)。 当所では、市内で発生した4事例について原因菌検索および分離菌株のパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)による解析を行ったので報告する。 ETEC O148の分離方法および結果 便検体はSS寒天培地とDHL寒天培地に塗抹した。平板上の大腸菌様コロニーを確認培地(TSI 寒天培地、リジン脱炭酸培地、SIM培地、シモンズクエン酸塩培地)に釣菌して大腸菌を同定し