小林製薬(大阪市)の「紅麹(こうじ)」のサプリメントを巡る健康被害問題を受け、林芳正官房長官は28日の記者会見で、機能性表示食品として届け出のあった全約6800製品について、事業者に対し健康被害の有無などの調査を求めたことを明らかにした。機能性表示食品制度は2015年、安倍晋三首相(当時)が進めていた規制緩和による経済成長戦略の一つとして導入されたが、届け出のみで国の審査はなく、当初から安全性などへの懸念が指摘されていた。
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東京都世田谷区が新たな区史の編さんを巡って執筆者全員に著作権の譲渡を求めた問題で、区は反対していた青山学院大の谷口雄太准教授に執筆させないことを決めた。2023年度の執筆者の委嘱更新に伴い、区が求めていた著作権譲渡の承諾書が3月末の期限までに提出されなかった。区の担当者は「発行時期や区史の内容を含め、区が責任を持って事業を進めるため」と説明した。 谷口氏は中世史を担当する予定だった。2月に区から配布された承諾書で、執筆者の許可がなくても区側で原稿を修正できる「著作者人格権の不行使」を含めた著作権の譲渡を求められ、「行政の解釈で都合よく歴史を書き換えることが可能になる」と見直しを訴えていた。本紙の取材に「関係者と今後の対応を協議する」と話した。 区によると、執筆担当の大学研究者や区内外の学芸員ら41人のうち39人が、著作権譲渡の承諾書を提出。残る1人は、他の仕事を理由に辞退した。24年からの
新型コロナ禍初期に、未承認の薬でありながら、「観察研究」の名目でコロナ患者への投与が続けられた「アビガン」。厚生労働省は、その使用実態に関する調査結果を2月中旬、しれっと発表した。本紙「こちら特報部」の情報公開請求には「不当に国民の間に混乱を生じさせる」として、全て黒塗りで伏せてきた、にもかかわらずだ。発表はA4の紙1枚。結局、アビガン観察研究とは何だったのか。そんな簡単な報告で終わっていいのか。(木原育子)
東京電力が福島第一原発の視察者に、放射性物質のトリチウムが検知できないうえに、セシウムについても高濃度でないと反応しない線量計を使い処理水の安全性を強調する宣伝を繰り返していることが本紙の取材で分かった。専門家からは「処理水の海洋放出に向けた印象操作と言われても仕方ない」と批判が出ている。(山川剛史) 「処理水を測ってみますが、メーターは振れません」。処理水のサンプルに線量計を当てて説明する東京電力の担当者(一部モザイク処理)=福島県大熊町の福島第一原発で
安倍晋三元首相の国葬が、天皇の国事行為以外で「国の儀式」として実施される初めてのケースになることが分かった。今回と同様、内閣府設置法に基づく式典には東日本大震災の追悼式などもあるが、いずれも「内閣の儀式・行事」という扱いになっており、極めて異例の対応だ。ただ、国事行為が憲法で裏付けられているのに対し、国葬は法的根拠そのものにも疑義を唱える声があり、有識者は事前に十分な国会審議が不可欠だと指摘する。(坂田奈央) 2001年施行の同法は、内閣府の所掌事務として「国の儀式」と「内閣の行う儀式・行事」を並べて明記。国葬に関する直接の規定はないものの、岸田文雄首相は「国の儀式として行う国葬儀は、閣議決定を根拠に行政が国を代表して行い得る」と説明している。 内閣府によると、これまで行われた「国の儀式」は、19年4月の天皇退位に伴う一連の儀式や、毎年元日に皇族がそろう「新年祝賀の儀」など、いずれも憲
島津製作所(京都市)が製造した医療用エックス線装置を巡り、保守と販売を担う子会社の島津メディカルシステムズ(大阪市)熊本営業所の幹部社員が、熊本県内の公立病院に納入した装置に回路を遮断するタイマーを仕掛け、故障を装って部品を交換していたことが本紙の取材で分かった。病院は交換修理費として200万円超を支払った。島津製作所は社内調査していることを認め、自社のホームページに「事実関係が明らかになり次第、しかるべき対応を行う」とのコメントを出した。 両社の関係者は25日、この病院を訪れて謝罪し、概要を説明した。営業所を所管する熊本県は、メディカル社などから聞き取りをする考えを示した。病院を運営する自治体は、代金の返還を求めることも視野に検討するとした。 部品を交換していた装置は、エックス線で体内を撮影しながら映像を見られる「エックス線テレビシステム」で、この病院には2009年に設置された。関係者に
新型コロナウイルスの感染状況を分析し、厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」は14日、新規感染者数が1000人を超えた東京都について「感染拡大の速度はさらに加速する」との分析をまとめた。12日に発令された緊急事態宣言の効果が出るのは早くても2週間後とされ、50代以下を中心に入院者数の増加傾向は継続するという。 提出された資料によると、首都圏1都3県の陽性者のうち、デルタ株(インド株)に含まれるL452R変異の割合は4割を超えた。座長の脇田隆字(たかじ)・国立感染症研究所長は「デルタ株の増加はしばらく続く可能性が高い」と予測した。 脇田氏は「なるべく外出機会を減らし、五輪は家族やいつも一緒にいる少人数でテレビ観戦してほしい」と呼び掛けた。報道機関には、不特定多数が集まるスポーツバーや街頭での応援の取材に「慎重な検討」を求めた。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志は18日、東京都内の日本記者クラブで会見し、東京五輪・パラリンピックの感染リスクについて「無観客が望ましい」とする提言の内容を説明した。尾身氏らは同日、政府と大会組織委に提言書を渡した。「リバウンドが東京などでも起こり得る。開催の前でも感染の拡大、医療のひっ迫の予兆を察知したら、早急に強い対策を打ってほしい」と訴えた。
腹痛や下痢などを引き起こすカンピロバクター食中毒。多くは生や加熱が不十分な鶏肉が原因で、飲食店での発生が大半を占める。料理提供に関する法規制がないことに加え、「新鮮なら生でも食べられる」との誤った認識が広がっているためという。春から秋にかけての発生が多く、国や自治体は、外食の際は生や半生の鶏肉料理を避けるよう呼び掛けている。 (小中寿美) 細菌のカンピロバクターによる食中毒は、食後一~七日に腹痛や下痢、発熱などの症状が出て、乳幼児は重症化することもある。まれに後遺症として「ギラン・バレー症候群」になる恐れも。手足のしびれから始まり、重度だと呼吸困難を起こす神経障害だ。 厚生労働省によると、患者数は年間二千~三千人ほど。一昨年の大型連休には、東京都と福岡県で開かれたイベントで計八百七十五人が症状を訴える食中毒が発生、患者の便から菌が検出された。原因は湯通しした鶏ささ身の寿司だった。
昨年十二月、東京都内のビルの一室に商社や飲料メーカー社員、経済産業省職員、女性起業家といった男女が集まった。横浜市鶴見区の主婦末永恵理さん(36)の呼び掛けで発足した「乳児用液体ミルク研究会」の初会合だ。 液体ミルクは紙パックやペットボトルに無菌状態で密閉され、常温で半年~一年保管が可能だ。清潔な水が不足したりお湯を沸かしたりできない災害時も利用できるため、東日本大震災ではフィンランド在住の日本人女性らが計一万四千個を被災地に送り、喜ばれた。 研究会に私的に参加した神戸市消防局の沢田邦彦さん(29)は「災害時は哺乳瓶の洗浄が難しく、現時点でベストの選択肢。各家庭で備蓄するのが理想的だ」と話す。自らも個人輸入して長女(十一カ月)に与えている。
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